
第2世代ナイトビジョン ウェポンサイト、Litton M992 RANGERのレビューと第3世代増倍管の組み込みについて
記事作成日:2026年9月4日
友人が第2世代ナイトビジョン ウェポンサイト、『Litton Electron Devices M992 RANGER™ NIGHT VISION WEAPON SIGHT』の中古品を購入したのでレビューしていきます。
また、当記事では第3世代の増倍管(元々PVS7に入っていた、MX-10130規格の第3世代の増倍管)に入れ替える作業とその結果についても紹介します。
Litton M992 RANGERについて
まずは、そこまでメジャーな製品では無いので、Litton M992 RANGERについて軽く紹介します。
本製品は1990年代に登場したナイトビジョン ウェポンサイトで、軍・法執行機関向けの製品になります。
実践での実績は湾岸戦争で使われていたらしい…という程度しか自分は把握していません。
そもそもナイトビジョン・ウェポンサイトというカテゴリー自体、本製品が登場した頃からどんどん廃廃れていってしまっていると思います。
※既存の光学照準器と組み合わせて使用する、クリップオン式に切り替わっていった感じ
尚、後継機種にM993という物があります。
Litton M992 RANGERの外観レビュー
という訳で、こちらがLitton M992 RANGERです。
前オーナーが自作したと思われるピカティニーレール用のマウントベースが装着されている状態になっています。


本製品は銃にマウントして使用するナイトビジョンで4倍率のスコープ型ナイトビジョンです。
これ単体でウェポンサイトとして使用できるようになっている、レティクル表示が可能な製品となっています。
対物レンズ側は非常に大きく、ラバー製のレンズカバーが装着されています。

レンズカバーの中央は穴が空いており、そこには減光レンズが組み込まれています。
ピンホールとは異なり、明るさそのものを低下させる為、炎天下などでも使える仕様になっているのが特徴です。


昼も夜も、同じ光学サイトを使い回せるようにした結果なのでしょう。
対物レンズは薄青色のレンズコーティングが施されており、斜めから見ると深い青色に見えます。
この巨大なレンズが本製品の大きな特徴とも言えるでしょう。


対物レンズ側の先端とハウジング側は材質が異なっており、対物レンズ側はアルミ、ボディはファイバー樹脂でしょうか。
また、対物レンズとハウジングを繋ぐ部分には4本の大きな六角穴付きボルトが4つ付いており、これにより対物レンズが固定されています。


ハウジング左側面にはフォーカス調整ノブが付いており、このノブを回す事でフォーカスの調整を行う仕様になっています。
元々白い印字がされていた痕跡がありますが、綺麗に全部剥がれていますね。

ハウジング後ろ側にはエレベーションダイヤル、ウィンテージダイヤルとバッテリーケースが備わっています。
バッテリーケースの蓋はワイヤーでハウジングに固定されており、ワイヤーには謎の紐のような物が絡まっていました。


バッテリーは単3電池を1本使用します。
電池1本で駆動出来るのは良いですね。
とは言え、本製品と同時期の製品であるPVS14のような単眼も単3電池1本で駆動するので、それを思えば普通の事なのでしょうけど…。


尚、バッテリースロットの裏側には半透明の樹脂パーツが付いており、恐らくオートゲートコントロール用のセンサーが付いているのではないかと思われます。

エレベーションダイヤル、ウィンテージダイヤル共に1クリック辺り1/4MILレティクルが動きます。
回すとプランジャーの感触は伝わりますが、結構ヌルっと動きます。


尚、目盛りが記載されている箇所はシールになっており、エレベーションダイヤルには「4x MAG, 5.56mm SS109」と倍率と使用弾薬に関する記載が、ウィンテージダイヤルには「4x MAG, 1 CLICK 1/4 MIL」と倍率と1クリック辺りのレティクル移動量が記されています。
これらの表記から察するに、エレベーションダイヤルはSS109弾を使用する前提で基準点(恐らく100ヤード)でゼロインを行い、そこから距離に応じてダイヤルを回していく目盛の仕様になっています。
ただし、目盛がそういう仕様になっているというだけで、ダイヤル自体は360度回す事が出来ます。



ウィンテージダイヤルの方には『MPI(Mean Point of Impactの略?)』と0の数値、R方向の回転向きが記載されています。
こちらは1クリックで1/4MILレティクルが動くという、普通の光学機器と同じ仕様なので、普通な表記となっているのでしょう。

接眼レンズの上側には製品名の記載と、電源スイッチ、イルミネーションレティクルの輝度調節ノブが付いています。
製品名の記載は『Litton Electron Devices M992 RANGER™ NIGHT VISION WEAPON SIGHT』となっています。
その下にシリアルNOやMade in U.S.A.との記載があります。
※シリアルNOは一応伏せています。

電源スイッチ、輝度調節ノブ共に大型で厚手のグローブを装着している状態でも操作しやすいデザインになっています。


電源スイッチを『ON』の所にするとレティクルOFF状態でないとビジョンが起動します。
十字アイコンの所にすると、レティクルON状態になります。


接眼レンズはこんな感じで視度調整ノブとアイカップが付いています。


接眼レンズ側(アイカップを外した状態)はこんな感じで、水色のようなコーティングが確認出来ます。
また、ここには経年劣化によるコーティング剥がれと思われる模様が確認出来ます。

マウントベースはこのような物が付いており、こちらはM992純正ではなく自作されたマウントベースになります。
どうやら既製品のピカティニーレールライザープレートを加工し、アルミブロックを組み合わせてハイマウント化しているようですね。


尚、マウント装着状態の重量は1553g、マウントベースを外すと1241gなので本体重量は1キロちょっとといった感じのようです。


マウントベース固定基部は恐らく専用規格だと思われます。
ここに各種マウントを取り付ける事で、銃に取り付ける仕様となっているようで、ピカティニーレール用のマウントやキャリングハンドル用マウントなどが存在するらしいです。


レティクルについて
Litton M992 RANGERはナイトビジョン ウェポンサイトという製品なので、これ単体で照準器として使えるようにレティクルが付いています。
レティクルはこんな感じで、ミルドット付きの十字レティクルになっています。
尚、このレティクルは普通のスコープのレティクルなどと違い、真っ直ぐ覗いている状態ではちゃんと十字状の形になっていますが、視点をズラすとケラレて見えなくなる仕様になっています。

尚、最低輝度でも割と明るく、真っ暗闇でしっかり視認出来る輝度があります。
最大輝度だとめちゃくちゃ明るいですね。


覗いた時の様子について
4倍率なので屋内ではピントが合わないのでちゃんと像を映す事が出来ませんが、暗い屋内でレンズカバーを外した状態で撮影してみます。
レティクルの見え方と明るさの感じだけ見てもらえればと思います。
屋内の照明を常夜灯設定(肉眼でも十分視認出来る明るさ)にした状態はこんな感じ。

照明を完全に落として、かなり薄暗い状態(肉眼だと足元が見えるか見えないか、ギリギリの状態)で見るとこんな感じになります。

第2世代の増倍管という事もあり、真っ暗な環境での増倍率はそこまで高くは無いですね。
尚、本製品に組み込まれている増倍管、Litton M872はFOM1000〜1400程度のようです。
尚、アイボックスはかなり狭くちょっとでも視点を動かしたらレティクルは十字に見えなくなり、ケラレも始まります。
視点を上下左右に動かした際の様子はこんな感じ。
分解と第3世代増倍管の組み込み
という訳で、友人が第3世代増倍管の入れ替え作業を行ったので、ついでにバラされたパーツの撮影を行ってみました。
まず、対物レンズはこんな感じで、巨大な塊が1つのユニットになっています。
一体ここに何個のレンズが組み込まれているのかは分かりませんが、これ単体でかなりずっしりした重量があります。
対物レンズ内側のレンズも青色のコーティングが施されており、ここはかなり綺麗な状態ですね。


本製品のユニークな箇所がこのフォーカス調整機能で、ウォームギヤを採用しています。
側面のノブを回す事でハウジング底部に組み込まれているネジ状のパーツが回り、これに噛み合わさっている歯車が回る構造になっています。


この歯車が回転する事で増倍管が押し下がります。
つまり、レンズの位置を変えてフォーカスを調整するのではなく、増倍管の前後位置を変更してフォーカス調整を行う構造になっているようです。

増倍管を固定しているリングを外すと、大量のコーキング剤のような物が付着している事が分かりました。


コーキング剤のようなものは一部硬化していましたが、グリスのような粘度の箇所もありました。
また、拭き取るとシリアルNOも一緒に剥がれたので、このコーキング剤のような物は油性の何かだと思われます。

組み込まれている増倍管はM872。
Litton製の第2世代増倍管で、PVS7でも使用可能な規格の製品になります。


増倍管の奥にはレンズ(コリメーターレンズ?)が付いており、ここにはガッツリ劣化が確認出来ました。
見ての通り、コーティング剥げかバルサム切れかは定かではないですが、アメーバのようなモヤが発生していました。


という訳で、増倍管を交換します。
交換する増倍管は元々PVS7に入っていたITT F9810Cです。
MX-10130規格の第3世代の増倍管で、コントラクトとしてはOMNI3に分類されます。

尚、組み込みにあたって写真赤矢印部の出っ張りはフォーカス調整時にハウジングに干渉してしまうようで、ニッパーで切除していました。

ITT F9810Cが組み込まれたLitton M992 RANGERの見え方について
という訳で、増倍管の交換が完了したので見てみました。
撮影環境は純正増倍管を確認したのと同じで『常夜灯状態』と『完全消灯状態』なのですが、どちらも明るさ的な変化は特に無く、むしろ常夜灯を点灯させている状態ではオートゲートが動いて増倍率が下げられているような印象がありました。


屋外での見え方について(GEN3増倍管組み込み後)
第2世代と第3世代の増倍率の差を体感した所で、外に出て遠くだとどんな風に見えるのかを確認する事にしました。
撮影場所はたまにNVGの撮影で使っている近場の河川敷。
100m先と約480m先の鉄塔を覗いた様子はこんな感じ。
全体がボヤッとしているのは先程紹介したハウジング内部で発生しているコーディング剥がれが大きな原因のようで、肉眼で見ると結構気になるモヤモヤが確認出来ます。


100m先の森を見渡している様子はこんな感じ。
肉眼だと輪郭が僅かに見える程度の明るさしかありませんが、しっかり視認出来ていますね。
尚、100m先の鉄塔をIRライト(950nm)で照らすとこんな感じになります。


最後に、エレベーションダイヤル・ウィンテージダイヤルを動かした際のレティクルの動き方も見ていきます。
※基準点としてマウントベースに固定したレーザーサイトの光点を中央に合わせています。
通常のスコープの調整はレティクルの位置が固定されており、像の角度が変わる事によりゼロインを行うのですが、本製品はレティクルの位置自体が動きます。
という訳で、第2世代ナイトビジョン ウェポンサイト、Litton M992 RANGERのレビューと第3世代増倍管の組み込みについての紹介は以上になります。