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Maruyama MP-IX(MP9-N) SMG DX JP Versionの分解レビュー(テイクダウン、バレル、ボルト、ハンマーなどの分解)

記事作成日:2025年10月29日

先日開封レビュー記事を投稿したMaruyama MP-IX(MP9-N) SMG DX JP Versionを分解していきます。

尚、本記事ではマガジンの分解は行いません。
マガジンの分解について知りたい方は、SCW-9 PRO GBBの分解レビューをご参照ください。

テイクダウンについて

Maruyama MP-IX(MP9-N)は結構気合の入った造りをしており、実銃の分解方法とほぼ同じ手順で分解を行う事が出来ます。
自分はB&T TP9の分解方法を参考にして分解をしていきました。

まず、レシーバー後部に付いているボタンみたいな物(リコイルスプリングガイド)を押しながら、アッパーレシーバーを少し開きます。

後ろ半分が軽く開いたら今度は前側の「UP」と書かれているボタンを押し込みながらアッパーレシーバーを引っ張り上げます。
このボタンはかなり硬く、深く押し込む必要があるので少し指が痛くなります。
これでアッパーレシーバーとロアレシーバーを分離させる事が出来ます。

ちなみに、アッパーレシーバーからボルト周りのパーツを取り外してロアレシーバーに組み付ける事でアッパー無しの状態で動作させる事も可能です。

アッパーレシーバーからのボルトやバレル周りの取り外し

続いて、アッパーレシーバー側からボルトやバレル周りのパーツを分離させていきます。

まず、リコイルスプリングガイドを外します。
リコイルスプリングはGBBハンドガン用みたいな太さですが長さがありますね。

その後、マズルを押し込む事でバレルとボルトを取り外す事が出来ます。

アッパーレシーバーに残ってるチャージングハンドルを取り外します。
こちらのハンドルはレシーバーの溝に引っかかっているだけなので簡単に取り外す事が出来ます。

Maruyama MP-IX(MP9-N)のバレルやボルトはこのような感じで「マズル」「バレル」「ボルト」などのパーツが一体になっており、このままでは分離させる事が出来ません。

上下はこんな感じ。

KWAのMP9も割と内部の再現性が高い製品でしたが、それ以上の再現性があると思います。
バレルが少し回転する機構とか、ガスブローバック製品としての作動性を重視するなら不要なものな訳で…。(KWAみたいにアウターバレルは固定させた方がエアガンとしては良い)

そもそも、このギミック、動作中には動かないです。(分解して初めて知った)

これらのパーツを分離させるにはまず、テイクダウンに使用する「UP」と書かれたレバーを押し込みながら銀色のピンを抜きます。
ただ、ボタンのスプリングが硬くて外しづらいので、自分は先にスプリングを外してからピンを抜きました。

この方が楽に分解出来ると思います。

実銃ならこの後バレルを取り外す事が出来るようになるのですが、Maruyama MP-IX(MP9-N)は先にインナーバレルとチャンバーをアウターバレルから外す必要があります。

まず、チャンバー底部のピンを抜きます。
このピンは片側にローレット加工が施されているので、写真の方向に抜く必要があります。
その後、チャンバーを後ろ側に引っ張れば樹脂パーツが外れ、アウターバレルとインナーバレルを分離させる事が出来ます。

この状態でインナーバレルとマズルを前方向に引っ張ります。

その後、マズルとアウターバレルを分離させる事が出来ます。
マズル、アウターバレルは共にスチールの削り出しで出来ており非常に硬く、ずっしりしています。

アウターバレルとインナーバレル・チャンバーについて

アウターバレルはこんな感じで、外側もそうですし内側もよく再現されていると思います。
ライフリングにはなっていませんが、ポリゴナルライフリングっぽい形状が再現されていますね。

インナーバレル・チャンバーASSYはこんな感じ。

VFC製品でよく採用されている黒色のアルミインナーバレルに青色のHOPパッキンが組み込まれています。
SCW9の時にも思いましたが、やっぱりVFC…。

HOPアジャスターとクッションゴムはこんな感じで、アジャスターに付いているイモネジが回る事でアームが上下に動きます。
クッションゴムは硬めのゴム丸棒です。

インナーバレルは124mmのアルミ製。
HOP窓は広めなタイプです。

HOPパッキンは硬度70位の面押しタイプ。
最近のVFC製品で標準となっているGBB用HOPパッキンです。

ボルトキャリアとブローバックエンジンについて

Maruyama MP-IX(MP9-N)のボルトキャリアは全体がマットな銀色で塗装されており、パーティングラインとツールマークの両方が確認出来る事から整形した後で一部が切削されているような気がします。
重量は185gと結構重め。(非磁性なのでバレルやマズルとは同じ材質では無さそう)

ボルト後部にはハンドガン用みたいな小さなブローバックエンジン(ブリーチ+ローディングノズル)が付いています。

ブリーチを取り外すにはボルト後部のネジを外し、その後ローディングノズル側面に付いているリターンスプリングを固定しているネジを外します。

ボルト内側はこんな感じ。
本製品のパーツには「N223」という文字が入っているのですが、これが本製品の型番でしょうか。
ボルトの内側にもN223と入っています。

分離させたブリーチとローディングノズルはこんな感じ。

ピストンカップは限界までシリンダー容量を稼ぐ、特殊な形状をしています。
この時点でVFCっぽさがより一層強まりますね。
VFC製ハンドガンは基本的に変な形のピストンカップを使用していますので…。
というかVFCのGlock系にそっくり。

VFCらしさが一番強い…というか、まんまVFC製のパーツを使っていたのがローディングノズルでした。
「G18CV2」と書かれている所から分かる通り、VFC Glock18C Ver2のローディングノズルが使われています。

Maruyama MP-IX(MP9)のエンジンはVFC Glock18Cだった訳ですね。

ローディングノズルの中身(フローティングバルブ・フローティングバルブスプリング)はこんな感じ。

VFC Glock18C用の、これまた変わった形のフローティングバルブが付いています。
尚、フローティングバルブスプリングは結構硬め。
閉鎖タイミングが遅そうなので、HFC134Aなどの国内で一般的なガスで運用するならもっと柔らかい方が良い気がします。

それにしても、ローディングノズルもフローティングバルブもVFC Glock18C Ver2用という事は、もしかしてSCW9よりも箱出し状態での作動性が良いと感じたのは新規ではなく、実績のあるブローバックエンジンを組み込んでいるからかも知れないです。

VFC Glock18Cは初期型の作動性は酷かったですが、Ver2になってからはかなり改善されていますからね。
Maruyama MP-IX(MP9-N)にはそのエンジンが積まれているようです。

とは言え、ハンドガン用のエンジンでこの図体(ボルトキャリア)を動かすには結構無茶してるなとは思います…。

ロアレシーバー側のパーツについて(トリガー・ハンマーなど)

最後にロアレシーバー側を分解していきます。
Maruyama MP-IX(MP9-N)のロアレシーバーはこんな感じで、トリガーやハンマーなどのパーツが詰まっています。

トリガー周りはこんな感じで、引きバネが確認出来ます。
Maruyama MP-IX(MP9-N)のトリガープル、割と軽くてハンマーダウンの直前で一気に重くなるのがちょっと気になるのと、ダブルタップしにくいので引きバネをもう少し硬い物に交換するとかしても良さそうです。(簡単に外せますし)

ハンマー側はこんな感じで、これもなんかVFCのGlock系っぽい形のハンマー(ゼロハンマーっぽいデザイン)が付いています。
また、ロアレシーバー後部にはダンパーが付いています。
本製品がフルストロークになっていない無い理由はここに付いているダンパーの影響ですね。

とは言え、ダンパーを外して使うにはレシーバーや内部パーツへのダメージが大きそうなのでフルストローク化するなら一工夫は必要な気がします。

ロアレシーバーを分解するにあたって、とりあえずストックを外しました。
特に外さなくても良いパーツなのですが、純正オプションパーツでストックをAR15系バッファーチューブ仕様にしたり、20mmレールにしたりするパーツが出ているので一応分解しておく事にしました。

ストックを外すにはストックのヒンジ部に付いているネジを外すだけです。

また、ロックボタンも同様にボタン部がネジになっているのでこれを回せば外せるのですが、自分の個体はここのネジがかなり脆く、軽く力を掛けただけであっさり折れました。
「ネジが硬いな」と感じる事も無くあっさり折れたので、もしかしたら元々クラックが入ったりしていたのかも知れません…。

尚、分解するにしてもストック基部を交換するにしても、このロックボタンを外す必要は無いので分解しない方が良い気がします。

特殊な形状をしているパーツなので組み立て時どうしよう…。
地味に面倒くさい事になりました…。

続いて、ロアレシーバー内部のパーツを外していきます。
まず、フォアグリップ上部に付いているマズル+バレルのロックパーツを外します。
ネジを外した後レバーを左方向にスライドさせ、外す事が出来ます。

バレルのロックパーツを外す
レバーを左側にスライドさせる
レバーとスプリングが外せる

グリップ内側に付いているネジを外す事で、銀色のコの字状のパーツを外す事が出来ます。
このパーツでマズルがロックされています。

尚、これらのパーツは別に外す必要は無いと思います。
カスタムしたりも出来る訳でも無いですし…。(強いて言うなら、ロックレバーのスプリングはもうちょっと硬いのにしても良い気がする)

続いて、ボルトリリースレバーがくっついているブロックを外します。
これはトリガーの根本付近に付いているパーツで、ネジ1本で固定されています。

このブロックを外したらトリガーを取り外す事が出来ます。
トリガー用のリターンスプリングは常に見えている状態なので、どのタイミングでも取り外し可能です。
トリガーセーフティはトリガーの間に挟まっているだけです。

続いてセレクターレバーを外します。
尚、セレクターレバーも特に他のパーツと干渉している訳では無いので、別に外す必要は無いパーツです。(トリガーを物理的に引けなくする事と、トリガーバーの位置変更にしか使われていない)

セレクターレバーを外すには、まずセレクターレバーをフルオートポジションにした状態で右側内側の小さな穴に細い六角レンチなどを突っ込み、内側についているプランジャーを押します。
その状態でセレクターレバーをスライドさせれば外せます。

これでセレクターレバーの右側を外す事が出来ます。

左側はフルオートポジションから更に回す事で抜く事が出来ます。
セレクターレバーのクリック感を出すプランジャーは左右に入っています。

ハンマー周りを外すにはまずロアレシーバー後部に付いているピンを抜く必要があるのですが、このピンは内側にEクリップが付いています。(左右両方に付いています)
このEクリップを2つ外す事で、簡単にピンは抜けます。
ついでにハンマーケースを固定しているネジも外しました。

続いてトリガーバーを外し、トリガーバーにテンションを掛けているスプリングと共にダンパーを外します。

ダンパーはこんな感じで、四角い樹脂パーツにゴム丸棒が刺さっています。
樹脂パーツは銀色のフレームにピン止めされていますが、ゴム丸棒は刺さってるだけなので引っ張れば抜けます。

続いて、ハンマーケースを固定している2本のピンを抜きます。
このピンは貫通しておらず、左右に分離しているので内側からマイナスドライバーなどを突っ込んで外側に押し出してやるのが良いと思います。

ハンマーケースはこんな感じで、ハンマーやシアー、バルブノッカー、ディスコネクターなどのパーツが一体になっている物になります。
かなりコンパクトにまとまっていますね。

ハンマーの中身はこんな感じじで、少なくともハンマーとバルブノッカーはVFC Glockっぽい気がします。

ハンマースプリングに関してはそのまま東京マルイ互換などの既製品が使えそう…。
ハンマースプリング柔らかくしたいんですが、社外製のハンマースプリングって硬いものばっかりなんですよね。
昔はRCC製のスプリングセット(70%と130%のセット売り)が便利だったのでよく使ってたんですが、最近見かけないですし…。


という訳で、Maruyama MP-IX(MP9-N) SMG DX JP Versionの分解レビューは以上になります。
全体的に拘ってリアルに作っている所は造り、稼働に必要な部分はVFC Glock 18Cという枯れた技術を使っている所が良かったですね。
正直、面白みは少ないですが…。

JPバージョンとしての変更点は不明ですが、見た感じフローティングバルブやハンマースプリングなどの初速に直接影響するような箇所は海外(台湾)モデルと同じじゃないかと思います。
もしかしたら低圧な状態でも動作するようにリコイルスプリングが柔らかくなってたりするのかも知れません。

多少気になる所もあるので、その辺りを調整しながら組み上げていこうと思います。
特に作動性が悪くはないと言っても、リキッドチャージ時のフルオートの安定性が悪かったり、低圧状態での作動性の悪さは気になる所ではあるので、その辺りが改善出来ればと思います。