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A&K製トレポン、STWの分解レビュー Part.2 ロア編(ギアボックス、FET、モーターなど)

記事作成日:2017年6月12日

UFCが輸入代理を開始した、A&K STWの分解レビュー パート2です。

パート1では、アッパー編という事で、シリンダーやチャンバー周りを分解していきましたが、今回はロアフレーム系のパーツを分解していきます。
パート1でも「チャイポン」らしいクオリティだったのですが、今回紹介するロアフレーム側も中々な物でした…。

という訳で、分解を進めていくのですが、トレポンのロアーの分解って、弄る人によって色々好みがあると思うんですよね。
自分の場合、全分解の時はストックチューブ、モーター、ギアボックスの順番で外します。
特に理由は無いんですが、癖なのかこういう順番で外しちゃいます。(元々、分解は事前調査とかせずに外せそうな所から順番に外す派だからかもしれません)

ストックチューブの分解

トレポンのストックチューブを外すにはストックチューブキャップと呼ばれるパーツを外す必要があります。
STWも同様です。
しかし、STWのストックチューブキャップは本当に無茶苦茶な寸法・設計をしており、めちゃくちゃ硬いです。

取り外したストックチューブキャップはこんな感じ。
無理やり挿入されているので、キャップに付いているOリングは最初からズタボロです。

後は配線を少し引っ張り、SWDを前に出してからストックチューブを回して外します。
ストックチューブを回す際、SWD一緒にグルグル回ってしまい、配線が絡まったり引っ張られて断線する恐れがあるのでSWDを抑えて回転しないようにしながら回した方が良いです。

尚、STWの配線は無駄に長いので、逆に取り回し辛いです…。
短すぎても駄目ですが、長すぎても変な所で折れ曲がったり絡まったりするので…。

グリップ部分の分解レビュー

続いて、モーターを外していきます。
まず、グリップ底部の六角ネジを4本外します。

はい、ここで驚愕の事実。
ネジの種類が違う事はファーストインプレッションの時に分かっていましたが、なんと長さも違っていました。

しかも4本のうち短いのが2本、長いのが1本、長いのより更に少しだけ長いのが1本と3種類の長さのネジが使われています。
適当過ぎるだろ…。

そして、ブラシスプリングを固定する為の樹脂製のピンが(モーターブラシスプリングポール)が片方折れてました。
この時点でモーターの再利用はあまり現実的では無いですね…。

また、普通のトレポンは、配線がブラシケースにはんだ付けされているのですが、A&K STWは通常電動ガンのようなコネクタ式になっています。
コネクタ式なのでモーターの取り外しは楽なんですけど、PTWを弄ってる人間からすると、これじゃない感が漂ってきます。

という訳で、取り外したモーターはこんな感じ。
よく9000円位で売られてるPTW用の中華モーターですね。

入っているブラシはこんな感じ。
トレポンと同じスタンドアップタイプの物ですが、普通のトレポン用ブラシはブラシホルダーにネジ止めするのに対し、こちらはブラシホルダーとブラシスプリングの間に挟み込んで固定する、通常電動ガンと同じ方式のブラシです。

モーターの性能はお世辞にも良いとは言えず、トレポンならではの強いトルクはありません。
大分ヘタったトレポンを使っているような感じの動きで、実際磁力もかなり弱いです。

ギアボックスの分解レビュー

続いてギアボックスを外します。

と、その前にマガジンキャッチを外します。(別に外さなくてもギアボックスは外せるんですが、一応)
マガジンキャッチはトレポンと同じ感じの普通な奴。

ギアボックスを外すために周囲のパーツを外していきます。

まず、ボルトリリースボタン。
意外なことに、マグネティックが採用されています。
こちらは2012年モデル以降のトレポンで採用されている機構なんですが…。

このように、新旧の機構が入り乱れてるのが謎ですね…。

続いてセレクターレバーを外します。
セレクターレバーを外すにはまずギアボックス上部のイモネジを外してから、セレクターレバーを抜きます。
逆さにするとスプリングと玉が落ちてきます。

続いて、コントロールケーブル類を抑える為のこのパーツを外します。
半透明の樹脂製でいかにも脆そうな感じです。
というか、既に抑えるための棒が折れてました。

次に、ギアボックスをレシーバーに固定している2本のネジを外すのですが、ここのネジも前後で違う種類の物が使われていました。

このネジを外すとギアボックスが外れるのですが、ちょっと渋いので、グリップ側からピンポンチを使って軽く叩いてやると外しやすいです。

ギアボックスをレシーバーから取り出すと同時に、検知基盤も外します。

STWのギアボックスはこんな感じ。
パット見アンビ仕様のギアボックスにも見えますが、アンビ仕様ではありません。
内部に、アンビセレクターと連動させる為のギアを入れるスペースが無いのです…。

ネジを5本外すと真っ二つになります。

ギアボックスの内側に「A&K」と入ってますね…。

グリスはかなり少なく、プラネタリーギアの所ですらこんな状態です。
粘度の低いグリスがごく少量塗布されているだけの状態です。

とりあえず、ギア類を全部外してみました。
一部のベアリング軸受が軸にくっついてしまい、ハズレませんでした。
無理に外そうとすると壊れそうなので、やめときました。
また、プラネタリーギアとサンギアの間に差し込まれる三日月状のパーツ(ベアリングプレート)が、何故かダイカストでした。本来はここがベアリングになってるはず何ですが…これで良いのか…?

プラネタリーギアの軸はギアボックスにしっかり差し込まれていて、簡単には外れなさそう。

ちょっと気になったのがセクターギアの検知穴の位置です。
セクターギアを見てた時に「あれ?検知穴ってこんな手前に付いてたっけ?」と疑問になり、SYSTEMA純正のセクターギアと見比べた所、やっぱり手前に穴が空いています。
具体的には窪み2個分、手前になってます。

↑上がSYSTEMA純正、下がSTW

ファーストインプレッション時の動画レビューで、セミでもフルでもオーバーランが起きなかったのはこれが原因でしょう。
これは推測になりますが、A&K STWのモーターのトルクの低さとアクティブブレーキの性能では、SYSTEMA純正セクターギアと同じ位置に検知穴を開けるとオーバーランが多発してしまうのではないでしょうか…。

SWD(FET)、ECU(検知基盤)等、電装系のレビュー

最後に電装系を見ていきます。
トレポンの電装系は主に3つのパーツに分かれています。

1つがSWD(スイッチデバイス)と呼ばれるパーツで、よく「トレポンのFET」とか言われる部分です。
ストックチューブ内に収まっており、ここで通電の制御を行っています。

2つ目がECU(エレクトロニックコントロールユニット)と呼ばれるパーツでよく「トレポンの制御基板」とか言われる部分です。
トリガーが引かれたかどうかの検知、カットオフの検知、ボルトストップの検知等を行います。
検知した結果を処理し、SWDに送ります。後はSWDが上手いこと処理します。

3つ目がセレクターボードと呼ばれるパーツで、セレクタレバーの位置を検知する為のものです。
こちらは単に基盤にスイッチが2個付いているだけの非常にシンプルなパーツで、このスイッチの信号がECUに送られ、ECUが制御し、SWDに信号を送ります。

という訳で、そんな電装系を見ていきます。

まず、レシーバーから電装系のパーツを取り外すのですが、グリップ部分に空いている配線を通す穴はかなり広めに作られているので、モーターピンが付いた状態でも通せます。
これだけ広ければ、極太配線カスタムとかも出来そうですね。

SWDを見ていきます。

SWDを覆っているカバーは樹脂製です。これ、ヒートシンクじゃ無いのかよ…。
2本のネジを外すことで、基盤をずらせるようになります。

FETは4つも付いています。
ヒューズは20Aの物が付いています。

PTWのヒューズは35Aなので、大分低い容量のヒューズですね。
むしろ、その程度の耐久性しか無いと考えた方が良いのでしょうか…。

検知基盤(ECU)はこんな感じ。
これと言って変わったことはない普通の基盤ですが、大きな問題が1つあります。
こちらの基盤は2006年モデル等の旧型PTWで採用されているタイプのもので、コントロールケーブルのピンが5ピンになっています。
2008年以降の、現在流通しているPTW用のコントロールケーブルは4ピンなので、互換がない事は一目瞭然。

セレクターレバーの検知スイッチ(セレクターボード)はこんな感じ。
これは新旧変わりのないパーツなので、見た感じ互換はありそうですが…。

個人的に精神的なダメージが一番大きかったのがこれ。
コントロールケーブルなのですが、箱出しで皮膜が破れてたり配線が千切れてたりとボロボロの状態です。
この配線が断線すると動かなくなるのはもちろん、ショートしてしまうとSWDとECUの双方が故障してしまう可能性もあるので、非常危ない状態です。

今のところショートしそうな被膜破れは無さそうですし、完全に断線するほどのダメージも無さそうなので大丈夫だとは思いますが、精神衛生上よろしくないですね。
かと言って、5ピンのコントロールケーブルなんてもう流通無いと思うので、修理するなら自分で作るしか無いと思います。

まとめ

という訳で、A&K STWのロアの分解レビューはこんな所になります。

アッパーのレビューの時以上にSTWに関する問題点が浮き彫りになった感じですね。
特に致命的なのは電装系。

何が致命的なのかと言うと、先述の通り、A&K STWは現行のSYSTEMA PTW用のパーツと電装系互換性がありません。

例えば、FETが焼けたかなにかでSWDが壊れてしまった場合、必然的にSWD、ECU、コントロールケーブルの3点は最低でも交換する必要が出てきます。
SWDを社外品にして安く押さえたとしても、3万円位飛びますね。
SYSTEMA純正で揃えようとしたらこれだけで4〜5万円は飛びます。

更に悲惨なのはモーターが故障し、その影響でSWDやECUが故障するというトラブル。
こうなってしまうと、モーターも交換する事になるので、5万円コースは確定ですね。

いかんせん、現行ロットとパーツが互換が無い以上、壊れていなかったとしても色々と交換する必要があるので…。

まあ、そんな訳でSTWの分解レビューはここまでになります。

次のレビュー記事までは少し時間が掛かると思いますが、パーツの互換性を色々見ていこうと思っています。

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