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FCU比較 Jefftron Leviathan-V2と不知火 陽炎2型B改を比較してみた

記事作成日:2020年6月11日

私のSIG AIR MCX VirtusにはJefftron Leviathan-V2を、その前に購入しているCybergun/VFC SIG MCXには不知火 陽炎2型B改を取り付けており、電子制御の組み込み難易度や設定方法、設定可能な項目の種類などにおいて比較してみようと思います。

どちらも個性のある優秀なFCUなのですが、使い勝手にちょっと違いがあるので、そういう点での比較になります。

ちなみに、ぶっ壊すまでの高負荷を私は与えたことが無いので、耐久性に関しての比較は出来ませんのであしからず…。

後、こういう製品の事をFCU(Fire Control Unit)と言うのが個人的にしっくり来るので当記事でもFCUと呼称していますが、最近はシンプルに「電子トリガー」やそれを英語表記したETU(Electronic Trigger Unit)という所も増えている気がします。
ETUと聞くとG&GのETUを連想しちゃうんですが、他社製品の事もETUと読んだりしてるケースもありますね。

という訳で、まずは今回比較に使っていく2丁のMCXのセッティングというか、パーツ構成について軽く紹介します。

SIG AIR MCX Virtus(Jefftron Leviathan-V2搭載)の構成

バレル周り:KM企画 TNバレル300mm+東京マルイ純正HOPパッキン
シリンダー周り:純正ノズル+SPARK 電動ガン用 ハイプレッシャーシリンダーヘッド Lv.1+DCI Guns 側面吸気ピストンヘッド POM、Ace1Arms 強化ピストン+適当な錘
ピストンスプリング:G.A.W. Anti Shrink Spring Soft
ギア:AOLS 18:1ギア
モーター:東京マルイ サマリウムコバルトモーター
FCU:Jefftron Leviathan-V2(最新FW)
バッテリー:7.4V LiPo

0.20gでの銃口初速が最大92m/s、発射サイクルが秒間16.5発程度です。

Cybergun/VFC SIG MCX(不知火 陽炎2型B改搭載)の構成

バレル周り:MADBULL BLACK PYTHON VER2+MAPLE LEAF MONSTER AST AEG 60度
シリンダー周り:FIREFLY でんでんむしノズル+純正ピストンヘッド+中華樹脂ピストン+LayLax ピストンヘッド POM NEO
ピストンスプリング:東京マルイ純正
ギア:SHS 18:1 ギアセット+LONEX スパイラルベベルギア
モーター:LONEX A5+LONEX スパイラルピニオンギア
FCU:不知火 陽炎2型B改搭載(ローサイクルモード搭載FW)
バッテリー:7.4V LiPo

0.20gでの銃口初速が最大93m/s、発射サイクルが秒間11.5発程度です

では、比較をしていきます。

FCUのインストールについて

まずはインストール(取り付け)方法です。
前段階としてマニュアルの熟読が双方ともに必要です。
こちらは双方ともに写真付きで注意事項などが記載されたインストールマニュアルが付属します。
しかし、Leviathanの付属マニュアルは英語表記のみで、日本語マニュアルは代理店(G.A.W.)ウェブサイトからPDFをダウンロードして閲覧する必要があります。
尚、不知火 陽炎もオフィシャルサイトから説明書をダウンロードする事が出来ます。

インストール前にこれらのマニュアルに目を通しておけば特に困る事は無いでしょうし、慣れている人でも注意点を頭に入れておく事でスムーズな組み込みが出来るはずです。

次に実際のインストール作業ですが、これは双方共に組み込む銃に合わせて微調整が必要になる箇所があります。
Ver2規格のメカボックスと言ってもメーカーごとに微妙な差があるので、こればかりは仕方がないですね。
基本的な話ですが、FCUは繊細なパーツなので、無理に組まないよう注意が必要です。

まず、Jefftron Leviathanではセレクタープレートの加工が必要になるケースがあります。
これはセレクタープレートの位置検知を物理スイッチで行っている為です。
一方、不知火 陽炎2型B改はセレクタープレートの位置検知を光センサーで行っているので、光を反射させる為の白い板を貼り付けた上で、反射させたくない部分を黒いマジックで塗る必要があります。

セレクタープレートを削るのと板を貼ってマジックで塗るののどちらが楽か、個人的にはどっちもどっちな気がしますが、後者は失敗してもやり直せるという安心感があります。

だだし、セレクタープレートのスイッチを組み込み時に破損させてしまう事例は少なくはありません。
陽炎は光センサーなので故意に傷つけようとしない限りは破損するリスクが無いので、その点安心出来るという利点はあります。

メカボックスへ基板を固定するのはLeviathanも陽炎も基本的には無加工で行う事が出来ますが、メカボックスの個体差や独自仕様によってバリがあったり寸法が違うせいで加工しないと付かない事もあります。
なお、この辺りの注意点も説明書に記載されています。

トリガーに関しては双方ともに独特な調整が必要です。
まずLeviathan V2は、そもそもトリガーが専用品となっており、通常のトリガーを使用する場合はトリガーを加工する必要があり、それ相応の工具が無いと難しいです。
不知火陽炎はそういった大それた加工は不要ですが、光センサーにトリガーを検知させる為に白い板を貼る必要があります。

色々なトリガーを組み込みたい場合は陽炎の方が楽ですね。

FCUの動作テスト・検証について

昔のFCUは全てのパーツを組み込み、バッテリーを繋いで動作させるまで正常に動作するかどうかのチェックを行う事が出来ませんでした。
その為、動かしてみて「あれ?トリガー引いても動かないぞ…」とか「セレクターレバーの検知位置がおかしい…」とかそういう事がありましたが、Leviathanも陽炎にも組み込む前に各スイッチの動作テストを行うモードが備わっています。

まず、Leviathanは設定用の専用アプリ(詳しくは後述します)と繋ぐ事で、スマートフォン/タブレット上でスイッチの動作を確認する事が出来ます。
画面を見ながら各種スイッチが正常に動作している事を確認する事が出来ます。

一方、陽炎ではLEDの点滅によってスイッチの動作を確認する事が出来ます。
LEDの点滅がどういう状態なのかは付属の説明書に記載されているので、それを見ながらテストを行えば困る事は無いでしょう。

という訳で、共に動作させる前のチェック機能が備わっており、組み込みミスやトラブルを減らす事が出来るようになっています。

FCUの設定について

続いて、FCUの設定の違いについてです。
Leviathanは専用のスマホアプリ(iOS/Android対応)を使ってFCUの設定を行います。
一方、陽炎ではトリガーを引きながらバッテリーを繋いで基本プログラムモードに入ったり、バッテリーを繋いだ状態でトリガーを長引きする事でプログラムモードに入ったりして、トリガーを引いた回数とビープ音を聞いて、マニュアルを見ながら 設定を変更していきます。

Leviathanはアプリなので、設定がグラフィカルで直感的です。
スライダーを動かせば動かした分だけ設定がリアルタイムで書き換わるのでバッテリーの抜き差しは不要ですし、1発撃つ→ちょっと数値弄る→もう1回撃つといった感じで素早く調整を行う事が出来ます。

設定項目も非常に細かく可能で、連射サイクル、アクティブブレーキは100段階、プリコックは80段階の調節が出来ます。
バーストも2〜20、ディレイは0秒〜4秒まで0.1秒刻みで可能です。
電子ヒューズも1A〜100Aと、一体どんなセッティングにすれば100Aも使うんだ?という位まで上げる事が出来ます。

ただしこのアプリ、たまにうまく接続出来ない事があるんですよね…。
そうなった時はアプリの再起動やバッテリーの抜き差しを試す必要があるので、少々面倒です。

陽炎ではこのようなマニュアルを見ながら、任意の回数トリガーを引き、ビープ音を聞き、設定を行います。
Leviathanの設定に慣れてしまうとこの設定方法は非常に煩わしく感じてしまいますが、昔はこれが当たり前だったんですよね。

陽炎2型B+設定マニュアル

もちろん、設定の幅はLeviathanより狭いですが、十分な機能は備わっていると思います。
個人的にはこのサイクル対応設定によって並のFCU以上には対応幅が広いのではないか?と思っています。

尚、色々なFCUを触ったことがある人なら分かると思いますが、陽炎のマニュアルはかなり分かりやすくて優秀だと思います。
豊富な設定をトリガーだけで設定していくんですし、マニュアルの情報量は仕方がないかなとも思います…。

Leviathanの設定方法と陽炎の設定方法をPC系に例えるとGUIを使うかCUIを使うかみたいな感じでしょうかね…。
技術の進歩って感じがします。

また、Leviathanのアプリでは設定だけではなく、射撃回数のカウントやエラーログの閲覧も可能になっています。
例えばFCUがエラーを検知して動作を停止させたり、動作停止に至らなくともビープ音が鳴り異常を伝えてきた時にどういう問題が起きているのかを確認する事が可能です。

また、FCUの状態をモニタリングしたり、流れてる電流値や電圧を見る事も出来るのです。

こういうのはGUIがあってこその機能ですね。
見ていて非常に面白いですし、銃をカスタムする側の人間としては物凄くありがたい機能です。
ぶっちゃけプリコックとかそういうの無くても良いからこれだけモニタリング出来るハードがあると凄く嬉しいですね。

こういった事から、コロコロセッティングを変えたり、色んなパーツを試したりしたい場合はLeviathanの方が便利ですが、一度設定を行ったらそれ以降はずっと同じセッティングのまま使う場合は陽炎でも問題は無いでしょう。

設定内容の保存やファームウェアの更新について

基本的にFCUに設定した内容はFCU側のメモリに保存されるのですが、Leviathanではこの設定をアプリ側に複数個保存、瞬時に切り替える事が可能です。 (正直、あまり良い使い道が思いつかないんですが…)
また、ファームウェアアップデートもアプリ上から行う事が出来るので、ユーザーは常に最新のソフトウェアを使う事が可能です。

ちなみにファームウェアのアップデート情報もLeviathanのアプリダウンロードページから確認する事が出来ます。

一方、陽炎は設定を複数個保存する事は出来ません。
ファームウェアのアップデートに関しては一度基板を銃から外し、代理店もしくは不知火商店に郵送する必要があります。
私もアップデートを行う為に郵送した事があり、アップデートは無償で行う事が出来ました。
また、郵送して数日で返送されてきたので、レスポンスは非常に早い印象です。

FCUとして出来る事と使い勝手

最後にFCUとして出来る事と使い勝手についての比較です。
正直、先程紹介したFCUの設定方法が使い勝手に直結する部分もありますが、あくまで設定済みの状態で使った際の使い勝手について説明します。

まず、設定済みのSIG MCXの動作はそれぞれこんな感じです。
最初に不知火 陽炎を入れたSIG MCX、次がLeviathan V2を入れたSIG MCX Virtusです。

共にギリギリまでプリコックさせていますが、動画を見ての通りほぼ同じ。
厳密には少しLeviathanの方がレスポンスがゆっくり目ですが、使用しているバッテリーの出力が不安定なので少し安全マージンを取ってこうしています…。
この通り、セッティング自体はほぼ同じようにする事は可能だと思います。

ただ、どうしても再現する事が出来ない物があり、これが双方のFCUを選ぶ大きな要因になるのではないか?と思っています。

まず、Leviathan V2に関しては独特なギミックとしてトリガーのクリック感(シアー感)を再現する為の機構が備わっています。
その為、トリガーを引いた後少し抵抗が高まって、更に力を加えると「カチン!」とトリガー引き切られ、スイッチが押されます。
感覚的には物凄く重いマイクロスイッチトリガーみたいな感じですね。

このクリック感を出す機構はオミットする事も出来ますが、トリガーのスイッチ自体が物理スイッチなので、ショートストローク化カスタムをするには限界が存在します。

一方、陽炎2型B改は光センサーをトリガーのスイッチに採用している為、詰めようと思えば限界までトリガーストロークを詰める事が出来ますし、この調整が非常に楽です。
白い板を貼っているトリガーの先端部をちょっと黒く塗って検知位置を微調整するだけです。
また、FCU側の設定でも2段階で調節が可能です。

こういう事から、トリガーのショートストロークやフェザータッチを突き詰めるなら陽炎の方が優れているような感じがします。

一方リアルなトリガーフィーリング、重いトリガーが好みな場合はLeviathanですね。
ただし、このクリック感を生み出す機構は現状、Ver2メカボックス用のLeviathanにしか備わっていないので注意が必要です。

という訳で、2つのFCUを比べてみましたが双方共にユニークな仕様があるので、どちらを選ぶかは好みが分かれる感じがしました。

簡単にまとめると、よりリアルなトリガーフィーリングを求める、簡単にFCUの設定をしたい、FCUの細かなセッティングや変化の検証を行うならLeviathan、トリガーの種類の自由度やFCU搭載機らしいトリガーフィーリング、幅広いFCUの設定を行うなら陽炎といった感じでしょうか…。