ARES EFCS搭載メカボックス トラブルシューティングまとめ
記事作成日:2021年7月29日
ARES EFCS搭載メカボックスに関する、電子制御周りのトラブルシューティングを紹介します。
ARESのEFCS搭載メカボックスはARES M4CCRから始まり、ハニーバジャー、GSG G14、M4-KM7、SA VZ-58-L、AM-007、M45、KEL-TEC RDBを弄ってきました。(ちょっと見たことがある程度ですが、SOC ARも見てます)
ARES以外のEFCS搭載機としてはCOYOTE AIRSOFT G2(KRISS Vector)、ARROW ARMS APC9-Kを触っています。
EFCSの種類について
まず、ARESのEFCS搭載機種の定義ですが、当記事ではネオジウム磁石をカットオフに用いる電子制御ユニット全般とします。
ARES製品以外でもEFCSに近いか全く同じ電子制御を採用している製品がいくつか存在しますが、挙動が同じなのでそれも含めます。
EFCSメカボックスで一番メジャーな製品はVer2メカボックス系のEFCSメカボックスだと思われます。
このEFCSメカボックスは自分が把握している限り、ざっくり下記のバリエーションが存在(非公式)します。
- 初期型(通称緑基盤、アクティブブレーキ無し)
- 2世代目(通称青基盤、アクティブブレーキが搭載)
- 2.5世代(通称青基盤、アクティブブレーキが強くなっている)
- 2.5世代アンビ対応(セレクターレバー検知用のセンサー位置が変更)
Ver2メカボックス以外のEFCS搭載機に関しては全て2世代目以降と同じ仕様になっていると思われます。
尚、2世代目と2.5世代目の見た目の違いは正直分からないです。
EFCSは途中でアクティブブレーキが強くなった印象があり、これを勝手に2.5世代と呼んでます。
これはプログラムのマイナーチェンジの可能性が高く、もしかしたらもっと細かいバージョンがあるのかも知れません。
初期型は最近もう見かける事が無くなりましたが、こういうカットオフセンサー側の樹脂カバーが緑色(写真左)の基盤が組み込まれています。
尚、この緑基盤は単品販売やEFCSアップグレードキットの販売が無いと思います。
昔、壊れた時に補修パーツを探して断念した記憶…。
今現在、最もよく見かけるEFCSメカボックスがこの2世代目以降の基盤になります。
カットオフセンサー側の樹脂カバーが青色になっており、こちらはメカボックスセットの販売も、基盤だけのアップグレードキットの販売も行われているので、ショップのカスタムパーツコーナーにも並んでいるのを見たことがある人も多いと思います。
尚、FETが付いている側の基盤の色は緑色だったり青色だったりでロットによってまちまちです。
あと「ARES」と刻印が入っていますが、入ってない個体もありますが、これもFETが付いている側の基盤と同様にロット差だと思われます。
恐らく、ARESがハニーバジャーを出した時にこの基盤になったのだと思われます。
尚、初期型と2世代目以降はピンの本数が異なっているので、互換がありません。(初期は縦並び5本、2世代目以降は2列6本)
また、2.5世代にはアンビセレクターモデルが存在し、現状ARES M45とARROW ARMS B&T APC9-Kに搭載されています。
今後このEFCSメカボックスが増えてくるのだと思われます。
という訳で、こういったEFCS搭載機種で起きやすいトラブルとトラブルの原因、解決方法を紹介します。
トリガーを引くとセミオートでもフルオートでも3〜5発連射され、動作を停止する
原因:カットオフの検知不良
これはセクターギアに埋め込まれている磁石の磁力がセンサーで検知されない時に、一定時間で動作を停止させるというEFCSの安全装置が働く事による物です。
一定時間で停止するので、セッティングによって発射弾数は上下し、DSGを入れている場合は上記の倍の弾数が射撃されて停止します。
下記のような状況でこのトラブルが発生します。
- セクターギアの磁石とセンサーの間が開きすぎている
- セクターギアの磁石が+ー逆に埋め込まれている
- セクターギア全体が磁気を帯びてしまっている
- セクターギア以外の磁力を検知してしまっている
- 磁気センサーが故障している
この状況については色々とカスタマイズしている時に起きます。
1.セクターギアの磁石とセンサーの間が開きすぎている
純正セクターギアを使っている場合は、これは単純にシム調整を行い、セクターギアの位置をセンサーに近づければ解決します。
ただし、やりすぎるとタペットプレートやメカボックスと干渉してしまうので、どうしても改善しない場合はセンサーから伸びている線自体を少し曲げて、セクターギアに近づければ解決します。
もし、セクターギアの磁石を変更している場合、磁石の磁力が足りていない可能性があります。
2.セクターギアの磁石が+ー逆に埋め込まれている
セクターギアを交換してこの症状が起きる場合、これを疑った方が良いです。
EFCSはカットオフに磁気センサーを使っているということもあり、セクターギアに埋め込まれているネオジウム磁石の極性が重要で、純正セクターギアと同じ向きに磁石を入れて下さい。
それで解決します。
解決しない場合はそれ以外の原因が考えられます。
3.セクターギア全体が磁気を帯びてしまっている
これは社外製のギアを使っている時に起きる場合があり、磁石の持つ磁力がギア全体に伝わってしまい、ギア全体が磁石みたいな状態になっている場合です。
ギアの材質によって変わりますが、ステンレス削り出しとかのセクターギアを使っているとこうなる事がありました。(物によっては起きない場合もあります)
1と2の問題が無さそうで、セクターギアを社外製品に交換している場合はセクターギアの材質自体を変更した方が良いです。
4.セクターギア以外の磁力を検知してしまっている
これは基本的に意図しないと起きないトラブルだと思うのですが、カットオフ検知用のセンサーの周囲に、別の磁石が存在するとこうなります。
私はEFCS搭載機種をプリコックさせた時の、プリコック解除の為にこの挙動を使っています。
5.磁気センサーが故障している
結構レアケースだと思うのですが、磁気センサーやセンサーを制御している回路周りに何かしら問題が起きている場合も、このような症状になります。
この場合は基盤自体を交換しないと治らないです。(知識があれば、対応するセンサー単体交換で治る事もあります)
セミオートが2点バースト、3点バーストになる
上の症状に似ていますが、これはセミオートの時のみ起き、かつ4〜5発発射されない場合です。
磁気センサーに別の磁力が検知されている場合、こうなるようです。
私はプリコック解除の為にこの挙動を使っています。
セミオートがバースト、セミを交互に繰り返したり、突然バーストになる
レアケースだと思うのですが、私は1度だけ経験があります。
正直明確な原因がわかってないんですが、センサー側の基盤を交換する事で改善する事もあるので、基盤の問題のような気がしています。
挙動がちょくちょく変わる事から、こちら側にはコンデンサが付いているのですが、これの不良が原因として考えられるかな?とも思われます。
後は単純にバッテリー自体のパフォーマンスが落ちており、電圧・電流が不安定だとこういう事が起きたりするのかも知れません。
ちなみに、Ver2型であればアップグレードキットやメカボックス自体の販売があるので治せるんですが、Ver2以外やVer2でもアンビセレクターレバーモデルは補修パーツが無いので、別個体からパーツ取りしない限り直せないと思います。
以前代理店に聞いてみたら、パーツ単体の注文は出来ないと回答されたので…。
一瞬モーターが動いた感触があった後、動作を停止する
これは何かしらにより、ギアの動きが阻害されている時の挙動で、デジタルヒューズによりEFCSがモーターの動作を停止させている可能性が高いです。
この機能によって現行のEFCSは壊れにくくなってはいますが、「あれ?動かないぞ?」と何度もトリガーを引くのはやめた方が良いです。
その都度EFCSはモーターを動かそうと大電流を流しているので…。
EFCSのデジタルヒューズが何アンペアに設定されているかは不明ですが、経験上物理的にギアが回らない状態になっていない限りこうはならないので、シビアな設定にはなっていないと思います。
こうなる原因としてはギアクラッシュ、ピストンクラッシュなど、駆動系が物理的に破損している可能性が高いです。
クラッシュしてなくても、銃のセッティングに見合わない程のハイレートなピストンスプリングが入っている場合でも起きる可能性はあります。
また、長すぎるピストンスプリングや必要以上のスペーサーが組まれていたりして、ピストンが後退しきらない状態になっているというケースも考えられるので、空けてみて何も壊れていないようならセッティングを見直した方がよいです。
プリコックがオーバーランする
EFCS搭載機はセクターギアに埋め込まれている磁石の位置を変える事で、簡単にプリコックさせる事が出来ます。
しかも純正と同等品のギアは1個500円とかで売られており、かなり安価かつ簡単にプリコックが出来るという魅力もあります。
このギアにネオジウム磁石(太さ5mm、長さ4mm)を圧入するだけです。
尚、フェライト磁石のような磁力の弱い磁石だと検知エラーが起きる(一番最初に掲載したトラブルの例)ので、ネオジウム磁石推奨です。
埋め込む磁石の位置はセッティングに応じて変える必要があり、オーバーランしてしまうという事は、磁石の位置が後ろ過ぎるという事です。
Ver2メカボックスタイプの2.5世代ではアクティブブレーキが搭載されている事もあり、よほどの超高回転セッティングじゃない限り、下記写真の位置に磁石を埋め込めばオーバーランせず使えるはずです。
尚、初期型EFCSのプリコックに関するデータは下記記事にまとめています。
ARES M4CCR プリコックカスタム 検証データまとめ
初期型EFCSにはアクティブブレーキが存在していないので、バッテリーの電圧はもちろんピストンスプリングの硬さによる影響も大きく、2世代目以降と磁石の位置が大きく異なっています。
尚、2世代目に関しては明確なデータを残していないのですが、感覚的には2.5世代よりも1個ずつ磁石の位置をズラす感じが安定すると思います。
7.4Vの時には上の写真で紹介した11.1Vの所に、11.1Vの時は11.1Vの一つ上に磁石を埋める形です。
また、Ver2メカボックス以外のEFCS搭載機の場合、カットオフ検知用のセンサー位置が個体によって違うので、ネオジウム磁石の位置もそれに応じて変える必要があり、テンプレ通りには行かない場合があります。
という訳で、ARESのEFCS搭載メカボックスに関する、電子制御周りのトラブルシューティングをまとめてみました。
たまにカスタム記事中でも取り上げたりしていたのですが、色々情報が揃ってきたので1記事にまとめてみました。
基本的にこれ以外のトラブルは電動ガンでありがちなトラブルだと思うので、特に今回は紹介しません。