CYMA SIG 556 CM001BK電動ガンのオーバーホール、純正パーツベースでのカスタムをしました
記事作成日:2022年1月27日
開封レビュー、箱出し状態でサバゲーで使ってみたレポートとグルーピングテスト、分解レビューと行ってきたCYMA製電動ガン、SIG 556 CM001BKの調整を行っていきます。
いつも通り、好みな感じでカスタムしていっても良いのですが、せっかくなのでCYMA純正パーツをなるべく流用した状態で弄っていく事にします。(いつもやっているようなゴリゴリのカスタム記事ではなく、調整レベルの内容)
パーツの洗浄(こびりついたグリスの除去)
という訳で、まずは純正パーツの洗浄から行います。
いつもならブレーキクリーナーを使ってメカボックスやギアなどに付着しているグリスを吹き飛ばすのですが、CYMA純正のグリスに対してブレーキクリーナーは殆ど効果が出ず、拭き取っても粘っこいグリスが残ってしまうという問題がありました。
何度もやってればそのうち剥がれるんでしょうけど、めんどくさいので超音波洗浄機を使う事にしました。
3Dプリントパーツの洗浄用に使ってる奴です。
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超音波洗浄機の中に入っている液体は薄めた中性洗剤で、ここに細々したパーツを突っ込んでいきました。
尚、グリスがどの程度剥がれるのか試したかったので、付着しているグリスは拭き取らずにそのまま入れています。
暫くすると中性洗剤が濁ってくるので、パーツを取り出して確認、グリスが剥がれている物から順に取り出していき、グリスが剥がれていない物は薄めた中性洗剤を入れ替えて再洗浄を行いました。
かれこれ10分位放置してみた結果、殆どのパーツの洗浄は完了したものの、ギアにべっとりこびりついているグリスの一部と、細々したパーツに付着した青グリスは一切剥がれてくれませんでした。
尚、細々したパーツに残っていたグリスは拭き取れば綺麗になりました。
ちなみに、これらのパーツは超音波洗浄機+中性洗剤+拭き取りでグリスが剥がれたパーツです。
ギアに関しては拭き取るだけだと表面にネバネバした感触が残ります。
という訳で、ギアに関しては再度洗浄する事にしました。
という訳で、洗浄が完了したギアはこんな感じ。
歯の溝に入り込んだグリスまでしっかり落とす事が出来、だいぶ綺麗になりました。
続いて、メカボックスに付着していたグリスも超音波洗浄機で剥がそうと思います。
細々したパーツの洗浄をブレーキクリーナーや超音波洗浄機でやった時に分かった事ですが、この青グリスはとにかく頑固なので、まずは軽く拭いておきました。
まず、1回目の洗浄(5分)から。
超音波洗浄機に収まらないので、はみ出した状態ですが、今回洗浄したいのは軸受部分だけなのでこれでも良いでしょう。
これである程度落ちたので、引き続き洗浄を続ける事に。
追加の洗浄で残りのグリスも剥がれたので、反対側も同様の処理を行いました。
これでメカボックスの両方がだいぶ綺麗になりました。
ピストンのガイドレール部に少し汚れが残っていますが、これらはこの後拭き取りました。
内部パーツ洗浄の手間はかなり大きく、ARESやVFCなどの何倍もの手間と時間が掛かりました…。
まあ、臭くないだけマシ…かも知れませんが…。
これでようやく調整が始められます。
まずは軸受の接着から。
いつも通り、軸受の接着に使うのはロックタイト638。
ギアのシャフトの片側にOリングを取り付けておきます。
軸受にロックタイト638を塗布してメカボックスに貼り付け、Oリング付きのギアを取り付けます。
その後、メカボックスのネジを軽めに締め込みます。
この状態で完全硬化を待ちます。
尚、軸受やギアに関しては一切の問題が無かったのか?と言われると別にそういう訳ではなく、軸受の内径は若干ルーズでわずかにギアが暴れていました。
また、ギアに関しても若干シャフトが歪んでいるのが確認できたので、出来れば交換した方が良いと思われます。
ただし、箱出し状態でも特段大きな異音も無くちゃんと動いていましたし、今回は純正パーツベースで組み立てていくので、多少精度が悪くても純正パーツを使う事にしました。
ロックタイト638の硬化に暫く時間が掛かるので、他のパーツを組み立てていく事にします。
まずはピストンから。
ピストンの調整
純正パーツベースではあるものの、AOE調節と若干のピストン重量UPの為にピストンヘッドとピストンの間にワッシャーを2枚入れました。
尚、ラックギアの金属歯はピストン側に接着、ピストンヘッドも勝手に外れないようにネジロック剤を塗布して固定しています。
AOEはこんな感じになります。
尚、セクターギアとピストンの2枚目の歯が干渉していたので、そこだけ削りました。
また、この状態だとまだ重さが足りないかな?と思ったのと、出来ればピストンかスプリングガイドのどちらかにスラストベアリングを入れておきたかったので、ピストン内部の錘とピストンスプリングの間に挟み込む仕様のスラストベアリングを組み立て、組み込む事にしました。
ピストン重量33gもあれば強HOP+フルシリンダー+柔らかいスプリングの組み合わせであっても大幅な初速の低下を防ぐ事が出来るでしょう。
尚、スラストベアリングを入れた事により、スプリングガイドを若干短くする必要があったので、スプリングガイドの先端をカット、形を整えました。
とりあえずピストン周りの調整はこれで完了です。
インナーバレル・チャンバーの調整
続いて、インナーバレルとチャンバー周りなのですが、この辺りは基本的に汚れを落としただけです。
というのも、この純正インナーバレルは歪みもバリも特に見当たらなかったですし、箱出しのグルーピング性能を見る限りわざわざ変える必要は無いと判断、ただ表面の汚れだけは気になったのでそこだけ綺麗にしました。
まずインナーバレルは汚れや接着剤を剥がした後、ワコーズのメタルコンパウンドを使って磨きました。
HOPパッキンもムシゴムも純正のまま。
共に程よい柔らかさがあり、特に問題は無さそうだったのでそのまま。
パッキンの周りに軽くグリスを塗布しておいた程度です。
HOPの掛かり具合が問題無い事は箱出し状態で確認済みなので、チャンバーを組み立てた後にHOPの突起がが真っ直ぐ、スムーズに降りるかどうかだけ確認しておきます。
続いて、チャンバーの位置をより安定させる為にOリングを入れておきました。
CYMAのSIG556のチャンバー位置はロアレシーバーによって位置が決められる仕様となっているので、無くても問題無いとは思うんですが…一応です。
インナーバレルとアウターバレルのガタツキを抑える為に、マズル側にポリイミドテープを巻き、インナーバレル・チャンバーの組み立ては完了です。
メカボックス側の調整とギアの組み立て
軸受の硬化が完了したらメカボックス側の加工を行っていきます。
まず、メカボックスの割れ加工対策を施します。
とりあえずやっておいて損はない加工なので、やっておきます。
続いて、ギアを取り付けてシム調整を行います。
シム調整に関してはいつも通り適当な感じで行っているのですが、シャフトの軸ブレの影響もあってキチキチにしむを入れるとうまく回らなかったので、スパーギアとベベルギアは0.1mm程度、セクターギアは0.2mm程度のクリアランスを設けています。
とりあえずグリスを塗る前にメカボックスを閉じてギアを回してみました。
めちゃくちゃスムーズに回るという訳では無いですが、大きな抵抗も感じないので問題は無いと言って良いでしょう。
CYMA純正パーツのままでもベストとは言わない物の、ある程度スムーズに回る模様。
— エボログの中の人@3Dプリント楽しい (@Evolutor_web) January 18, 2022
ただ、若干軸ブレしてるかな…。
ギア同士やメカボに擦れたり異音発生させるレベルでは無いのでこのまま行きますが、シムはキチキチに入れない方が良さそう。 pic.twitter.com/0WAB2jcRGv
理想形は軸受もギアも交換ですけどね…。
続いて、軸受とギアにグリス(G.A.W. G-GREASE)を塗布します。
軸受のグリス溜まりにもしっかりグリスが入り込むように塗っておきました。(ボールベアリングでは無いので、今回Gルーブは登場しません)
本来ならギア単体+外付けスイッチを使ってギアとモーターのかみ合わせチェックを行うのですが、SIG556はこのテストが少々面倒なので、先にスイッチの取り付けまで行ってしまう事にしました。
とりあえず、ピストン周りも取り付けて最終確認。
ギアのかみ合わせも問題無さそうだったので、問題無いでしょう。
続いて、カットオフレバーを組み立てます。
次にスイッチを取り付けるのですが、せっかくなのでショートストローク化を施す事にしました。
Ver3はトリガーの構造の問題でVer2とかに比べるとトリガーストロークがより長く感じるので、ショートストロークはやっておきたかったんですよね…。
まず、スイッチを押す為のパーツとスイッチにプラ板を貼り付けます。
ちょくちょく仮組みしながらかさ増し量を調整、最終的にトリガー側を3mm、スイッチ側を2.5mmとしました。
そして、カットオフレバーがぶつかる突起の先端部分を削りました。
これでトリガーストロークを大幅に詰める事が出来るようになりました。
トリガーを組み立てるとこんな感じ。
ピストンを外した状態で、ギアだけの動作テストを行いました。
ギアノイズの具合に加えて、ショートストローク化したトリガーの様子をチェックします。
特に問題は無かったので、このまま調整を続けます。
再度メカボックスを開いて、シリンダー、タペットプレート、ノズルなどのパーツを取り付けていきます。
尚、この辺りのパーツもグリスを塗り直した程度で特に何も弄っていません。
ピストンスプリングは流石に交換しました。
使用したスプリングはG.A.W. Anti Shrink Spring 100%で、こちらは東京マルイ純正の電動ガン用スプリングと同じ硬さの製品になります。
G.A.W. Anti Shrink Spring 100%
組み立てと仕上げ
後はメカボックスを組み立てていくだけです。
尚、組立時に気づいた事なんですが、バレル・チャンバーとメカボックスを同時にロアレシーバーに突っ込まないといけないの、結構めんどくさいですね…。
セレクターレバー用のギアや配線の取り回しをしながらロアレシーバーを少し開きながらメカボックスを入れつつ、チャンバーでノズルをへし折らないように角度や負荷に気をつけながら組み立てる必要がありました。
実は組み立て中にセレクターレバーの位置がズレてしまったり、配線の取り回しが微妙な感じになっていたので何度か組み立て直しをしました…。
モーターを取り付けるついでに、SBDも取り付ける事にしました。
元々自作してたんですが、暫く作ってなかったので買っていた素子が行方不明だったので、G.A.W.製のSBDを購入しました。
こちらのSBDは配線がはんだ付けされて熱収縮チューブが付いた状態のSBDとY字端子、熱収縮チューブが同梱されており、配線を自分で適当な長さにカットして、Y字端子をかしめる製品です。
SBDはスイッチ保護の為にとりあえず付けておいて損はないパーツなので、とりあえず付けておく派です。
最近電子トリガーの製品ばかり弄ってるので、登場シーンが無いんですが…。
電動ガンの種類によってはモーター周辺にスペースが全然無くてSBDが設置しにくいケースもあるのですが、CYMA SIG556はグリップ後部にかなり広いスペースがあるので、SBD設置の難易度は低めです。
その為、今回はSBDをグリップの後ろ側に逃がすようなレイアウトにするように、配線を調整して組み込みました。
取り付けるとこんな感じ。
尚、モーターが純正のままなのは、調整後の変化を見たかったからなのと、何のモーターに変えるか決めかねていた為です。
出来ればEG1000位のバランスの良いモーターに変えたい所ではあるのですが、ミディアムサイズって単品販売されてないんですよねぇ…。
最後に、純正の管型ヒューズから20Aの平型ヒューズに交換し、配線を結束バンドでアウターバレルに固定して完了です。
完成しました。
中身を弄っただけなので、外観は何も変わっていませんがね…。
調整後の初速と発射サイクル、作動性について
初速はこんな感じ。
使用弾は東京マルイ 0.20g樹脂弾、バッテリーはDCI Guns 7.4V 1000mAhです。
HOPを最低にした状態が最大初速で、94m/s程度で安定。
箱出し状態の最大初速が90m/sに届かない程度の初速だったので、+4m/s程度の初速になりました。
箱出し時点で初速の安定感はありましたが、相変わらず安定していて一安心。
フルオートの発射サイクルは秒間12.8発と、箱出し状態と比べて秒間1発増えました。
やっぱりシム調整やグリス塗り直しの影響は大きいですねぇ。
尚、HOPの強さごとの初速の変化についてはHOP最低の状態が最大初速でHOPを上げていくと徐々に初速が下がっていきます。
箱出し状態ではHOP最低と最大では9m/s程度の初速低下がありましたが、ピストン重量を増した影響もあってか5m/s未満の初速低下に抑える事が出来ました。
動作の様子はこんな感じ。
異音も無く、スムーズに動いていますしショートストローク化した事もあって割といい感じになりました。
モーターをEG1000とかに交換したら更に良くなりそうです。
CYMA SIG556 CM001BK、調整完了です。
— エボログの中の人@3Dプリント楽しい (@Evolutor_web) January 19, 2022
純正パーツから完全に置き換えたのは、ピストンスプリングとヒューズだけです。
追加したパーツはピストン内のスラストベアリング、調整用のシム、ワッシャー、プラ板など。 pic.twitter.com/uv40tV9CZl
トリガーの引きしろの調整
何度か動かしていた時にトリガーのショートストロークを行った事により、トリガーの引きしろが大きすぎるなと感じたので、四角く切り出したゴム板をトリガーの後ろ側に空いている穴に詰め込みました。
本来はメカボックス側で弄った方が見栄えも良いと思うのですが、この銃は分解が面倒なのでここは手抜き工事…。
まあ、この方法なら後から微調整も効くので、これもこれで良いかなぁ…と。
尚、差し込んだゴム板の厚みは6mm。(3mmの板を2枚入れてます)
これでショートストローク化もあって、物理スイッチのままでもトリガーフィーリングがだいぶ良くなりました。
やっぱり発射されるタイミング以上トリガーを引けなくするのは良いですね。
という訳で、CYMA SIG 556 CM001BKの調整はこれで完了です。
純正から取り外したパーツはピストンスプリング、ピストンヘッドに付いている謎の透明パーツ、ヒューズのみです。
調整内容としては最小限な物で済んだんじゃないでしょうか。
個人的には他にも色々なパーツを交換したくなりますが、最低限で言うとこれくらいのパーツ交換と調整だけで済む気がします。
もし、色々と手を加えるなら変えたいパーツ
追加で交換するとしたら、下記でしょうね。(優先度高い順)
- モーター(せめてフルオートが秒15発を超える程度の、トルクとスピードが欲しい)
- ギア(シャフトの偏芯をなんとかした方が良い)
- 軸受(個人的に十字の切れ込みが入ってる軸受は嫌い、好みの問題なので別に必須では無い)
- ピストン(長期間使うならラックギアの強度が不安、念の為交換しておきたい)
- ピストンヘッド(形状が謎、Oリングも専用品に近いので変えたい)
という感じです。
精度に関わるノズルやチャンバー周りのパーツに関しては箱出し状態でも十分高いグルーピング性能を持っており、気密も取れているので、変更する必要は無い気がしています。
変えたい人は自分の好きな物に変えれば良いかなと。(ただし、特殊な形状の物なので下手に交換するとかえって性能が悪くなる可能性は高いです)
という訳で、調整したCYMA SIG 556はまたゲームかシューティングレンジで撃ってどういう変化があるのか、今度見てみようと思います。