東京マルイ サイガ-12Kの分解レビュー(ボルト、メカボックス、バレル周り一式とマガジン分解)
記事作成日:2023年6月16日
箱出し状態での動作を確認(温かい状況での飛距離、グルーピング検証と低温時での作動性と飛距離)をしておきたかったので、開封レビューから少し時間が経ってしまいましたが東京マルイ サイガ-12K ガスブローバック ショットガンを分解していきます。
まずはレシーバーカバーを外してボルトを取り外しておきます。
ここまでの分解は説明書にも掲載されており、メンテナンスに必要な分解となります。
リコイルスプリングガイドとリコイルスプリングについて
リコイルスプリングガイドとリコイルスプリングはこんな感じ。
スプリングは前側と後ろ側の2つで、間にカバーのパーツが組み込まれています。
後ろ側のリコイルスプリングは写真赤矢印部のピンを抜く事で外す事が出来るでしょう。
この部分は常にかなりの衝撃が加わる部分の為、抜き差しをする事で緩んでしまうのが嫌なので今回は分解しません。
ボルトの分解
続いて、ボルトを分解していきます。
まず、ガスピストンを外します。
ガスピストンはボルトの下側からネジ止めされており、緩み止め用としてゴムパッキンが付いています。
外すとシリンダーのリターンスプリングとスプリングガイドが一緒に外れます。
ガスピストン部はこんな感で、先端の銀色部分とその後ろの黒色の部分の2ピース構造。
銀色の部分は恐らくアルミ削り出し、黒色の部分は亜鉛ダイカストになっています。
ネジロック剤で固定されているようで、簡単には外せそうにありませんでした。
AKM GBBの時みたいにそのうちヘビーウェイト・ガスピストンが出てくるのかも知れませんが、構造的にAKMより複雑なので簡単には作れ無さそう…。
尚、重量は95gでした。
半分は亜鉛ダイカストの塊なのでこの状態でも既にソコソコの重量が、全てをステンレスや真鍮などで作ったら相当重くなりそうです。
続いて、シリンダーを外します。
シリンダーサイズはMWSと同じ19mmですが、シリンダーから生えているノズルの太さもあって見た目のインパクトが強いです。
ピストンはこんな感じで10個の穴が開いており、流れ込んだガスによってOリングが広がる仕様となっています。
ピストンを外すとこんな感じ。
非常に長いタップネジでボルトに固定されています。
シリンダーからフローティングバルブを取り外しました。
フローティングバルブを抑えているピンを抜く事で外す事が可能です。
大型のフローティングバルブと、柔らかいもののこれまた大型のフローティングバルブスプリングが組み込まれており、ガス圧で押し出されたフローティングバルブがしっかりノズル部を密閉し、ガスの流れをカット出来るように円錐状の形状をしています。
という訳で、ボルト周りのパーツはこんな感じです。
レシーバーの外装パーツを外していきます
続いて、ハンマーやトリガーが収まっているメカボックスを外す為に、まずはレシーバーの外装を外していきます。
まずはグリップ。
こちらは至ってシンプルなAK用グリップのようです。
基部はAKM GBBと同様に六角ナットが付いており、社外製グリップ(リアルサイズ/GBB AK用など)への取り付けもある程度可能だと思われます。
ポン付けが無理でも小加工で取り付けられるんじゃないでしょうか。
サイドレールは3本のネジで固定されています。
続いてセレクターレバーを外します。
AKM GBBの時と同様にシアーを押しながらセレクターレバーが上を向く位置まで回した後、引っ張れば抜けます。
セレクターレバーを外す際、引っかかって硬い場合はピンポンチを使うと良いと思います。
軽く叩けば外れるはずです。
セレクターレバーはこんな感じでAKM GBBに組み込まれている物と形状がよく似ています。
ある程度リアルな形状を再現しているので、似ているのは当然ですが…。
続いて、トリガーガードを外します。
トリガーガード下部の3本のネジを外せば外れます。
次にストックを外します。
基部のピンを下側から叩けば抜けます。
尚、分解レビューなので一通りパーツを外していますが、単にメカボックスを外す為だけであればグリップ、サイドレール、トリガーガード、ストックは外す必要は無いと思います。
レシーバーに付いているピンを2本抜きます。
この2本のピンでメカボックスは固定されています。
メカボックスを外したらストック基部を取り外す事が出来ます。
側面に付いている4本のネジを外し、ストックロックボタンも外しておきます。
これでレシーバーからストック基部を取り外す事が出来ます。
ストック基部はGBB AKMと同様にグリップ基部と一体型になっています。
形状は違いますが、これもおいおいサードパーティから色々アタッチメントが出そうですね。
メカボックスを見ていきます
こちらがサイガ12Kのハンマーやらトリガーなど発射機構が詰まっているメカボックスです。
基本的な構造はAKM GBBと同じでユニット化されているのが特徴です。
左側にはノッカーロック、トリガースプリング、セレクターレバーの機構が外側に付いています。
右側にはセカンドシアーとダミーのボルトストップが付いています。
これらのパーツはメカボックスを分解する前に外しておきます。
スプリングが吹き飛ばないように気をつけならが外していきます。
続いて、トリガーやハンマーの軸になっているパイプを外します。
また、ハンマーを外すにはハンマースプリングを外しておく必要があるので、先に外しておきます。
続いて、メカボックスに付いている3本の小さなネジを外します。
これでメカボックスを真っ二つに出来ます。
メカボックスを開けたらバルブノッカーを外す事が出来ます。
レシーバー側の分解は以上になります。
フロント側の分解(ハンドガード、アウターバレルの取り外し)
フロント側を分解するにあたって、まずはマズルを外しておきます。
緩み止めとして付いているOリングも外しておきました。
続いて、ハンドガードを取り外します。
サイガ12Kのハンドガードはスリングスイベル部のネジで固定されているので、これを外す事でハンドガードを取り外す事が出来ます。
ハンドガード固定基部は結構細く浅いですね。
前側はガスブロック部にネジ止めされているようです。
サイトベースはリアサイト側のピンとフロントサイトの調整ネジを回す事で外す事が出来ます。
尚、リアサイトはイモネジを緩めて横方向にスライドさせる事で取り外す事が出来ます。
ガスブロックについているガスレギュレーターを外し、ガスブロックを固定しているピンとイモネジを外しました。
ガスブロックは細いピン2本と下部からのイモネジで固定されているので、これでガスブロックを外す事が出来ます。(ガスレギュレーターを外す必要は無いです)
尚、ピンは緩み止めの溝が彫られているタイプで抜く方向が決まっているので注意が必要です。
ピストンパイプは引っ張れば外れます。
続いて、バレルをレシーバーから分離させる為にバレル上部のピンと側面のネジ、ストックロックレバーを外し、バレルを引っこ抜きます。
ちなみに、アウターバレル基部にはストックロックレバー用のスプリングとボール(おそらく動きをスムーズにさせる為の物)が付いています。
ローディングノズルの分解
レシーバーに残った最期のパーツ、ローディングノズルを外します。
尚、ローディングノズルを外すとプランジャー用のボールが2個落ちてくるので無くさないように注意が必要です。
サイガ12Kはガスブローバック製品としては非常に珍しい、ローディングノズルとシリンダーが別パーツで別々に動くという構造の製品になります。
それですら珍しいのにローディングノズルにはマグナブローバック・システムのフローティングバルブのような形をしたパーツが付いており、このパーツはノズル下部に付いているレバーの状態によって動作が変わります。
まず、写真赤矢印部のレバーはマガジンのリップ部分脇に付いている出っ張りにぶつかり、動きます。
レバーが開いている状態ではマグナのバルブっぽいパーツが引っ込みますが、レバーが押されている状態ではバルブっぽいパーツは引っ込みません。
また、マグナのバルブっぽいパーツが引っ込んだ状態でレバーが押されると、バルブっぽいパーツが引っ込んだまま固定されます。
どういう事なのかと言うと、このパーツはフローティングバルブのようなガスの流れを制御する物ではなく、チャンバーにBB弾が装填されているかどうかを判断する為のパーツのようで、チャンバー内に弾が装填されていない状態でマガジンを挿しても発射する事が出来ないという状態を作り出す為の物のようです。
ハンマーが起きている状態であっても射撃をするには空打ちであっても必ず1度ボルトを引く必要がある感じですね。
次世代MP5でも撃つにはチャージングハンドルを引く必要があるギミックが搭載されていますが、それを機械的に実装しているのがこのパーツのようです。
変態構造すぎる…。
東京マルイのとんでもない拘りを感じます。
安全設計にも繋がってくると思いますが、きっとよりリアルな動作を再現する為の物なのでしょう。
また、3本のノズルの間には隙間にBB弾が詰まってノズルの閉鎖不良を起こしつつ、ノズルを破損させてしまわないように棒が付いています。
よくエアコキショットガンのカスタムでやられている物ですが、サイガ12Kでは標準でそれが実装されています。
尚、ローディングノズルの内側にはピストン側のノズルと連結させた時にしっかり噛み込ませてロックさせる為のプランジャーが付いています。
これがピストン側のノズルに付いている窪みにハマってノズルが固定されます。
ローディングノズルはネジ4本を外す事で分解する事が出来ます。
このようなパーツ構成となっており、マグナのバルブっぽい形をしたBB弾検知用のパーツの他に、リターンスプリングが付いています。
尚、このパーツはパーツリストを見るとすべて組み上がった状態で「ノズル」という名前になっているので、内側のパーツがどういう名前なのかが分からないです。
新しいパーツなのでなんて呼べば良いんでしょうね…。
それと、このマグナのバルブっぽいパーツは上、右、左で長さが異なっており上が一番長く右と左が同じ長さで上より少し短くなっています。
恐らくチャンバー側に付いているストッパーの形状に合わせて長さが調整されているのだと思います。
更に、後ろ側の形状も異なっており、こちらは上、右、左ですべて形が異なっています。
上よりも右と左が一段低くなっています。
左下の方が一番幅広になっていますが、これは制御に関わるパーツなので形状が変えられているのだと思われます。
ふと思ったのですが、これを外したらどうなるんでしょうね。
単にチャンバー未装填状態での射撃を禁止する為の装置なのか、それともこの構造によって発射タイミングをズラす効果もあるのか…(サイガ12Kは3発の発射タイミングがほんの僅かにズレている)ちょっと気になります。
チャンバーとインナーバレルについて
続いて、アウターバレルからチャンバーを外します。
尚、チャンバーには真ん中が膨らんでいる、変わった形のスプリングが付いています。
このスプリングはローディングノズルを後退させる為のスプリングです。
アウターバレルは側面のイモネジを外した後、回せば外せます。
バレル・チャンバーはこんな感じで、アルミ製のバレルが3本付いています。
エアコキショットガンやポンプアクションガスショットガン、電動ショットガンなどの同社の3発動時発射製品と同じレイアウトになっています。
バレルの先端にはOリングが付いておりこれでインナーバレルが束ねられ、固定されつつアウターバレルとのガタ取りを行っています。
バレルスペーサー的な物は無いようです。
チャンバーはこんな感じ。
各バレルにBB弾が1発ずつ流れ込むようにストッパーが付いており、ノズルが前進する際にストッパーが押し上げられる仕様です。
チャンバー後ろのネジを外す事で、ストッパーを外す事が出来ます。
チャンバーを覆っているスリーブを外し、HOPパッキンを抑えているチャンバー内部パーツを引っこ抜きます。
インナーバレルはこんな感じ。
長さは300mmと、ポンプアクションガスショットガンではなくエアーコッキングショットガンシリーズのサイズになっています。
マズル側とチャンバー側はこんな感じ。
マズル側にはOリングを取り付ける溝があり、チャンバー側はエアーコッキングショットガンシリーズとよく似た形状になっており、溝にはOリングが付いています。
HOPパッキンをインナーバレルに取り付けるとこんな感じになります。
ガスショットガンですが、3発/6発切り替えでは無い事からエアーコッキングショットガンと同じ仕様になっているのかも知れません。
HOPパッキンの形状もエアーコッキングショットガンと同じ気がします。
相変わらず形状がちょっと不安定(バリがあったり歪んでいたり)ですし、BB弾が擦れた跡も不均一です。
もしかしたらBB弾が散るのはこのHOPパッキンが原因なのかも知れませんね…。
マガジンの分解について
最期に、サイガ12Kのマガジンを分解していきます。
サイガ12KのマガジンはBB弾が入る部分とガスタンク部が別体になっており、2本のネジで固定されています。
スプリングガイドを外し、フォロワースプリングを抜きます。
そしたら3分割になっているフォロワートップを取り外す事が出来ます。
また、スプリングガイド側はこんな感じで二分割になっています。
スプリング圧縮時の長さにはだいぶゆとりがあるので、前側を外せば装弾数が増やせるかも知れません。
ネジを5本外して真っ二つにするとこんな感じ。
リップ側には最終段検知用のレバーや、ノズルと連動して動くパーツなど独特なパーツが組み込まれています。
空撃ちレバー周りはこんな感じ。
これを外す事で放出バルブを取り外す事が出来ます。
サイガ12Kの放出バルブはこれまた変わった構造になっており、放出孔が非常に大きく、瞬間的に大量のガスを放出出来る構造になっているようです。
また、パーツが3分割になっている放出バルブは初めて見た気がします。
ガスルートパッキンは2本のピンで固定されており、樹脂製のカバーが付いています。
サイガ12Kのガスタンクは東京マルイ製品としては珍しく、アルミ製になっています。
放出バルブ側のパーツとはピンで固定されているので、こちらを外します。
注入バルブ側も同様にピンを抜きました。
尚、注入バルブの形状はMWSなどの同社製ガスブローバック製品と同じ気がします。
注入バルブ側には帰化室を作る為のパイプが伸びており、ガスタンクの半分以上が帰化室になっているような状態でした。
この構造にする事でガスタンクの容量自体はかなり減ってしまいますが、あんなに大量のガスを放出する仕様なのに割と安定して動作するのはこの帰化室のサイズが理由かも知れないですね。
という訳で、東京マルイ サイガ12K ガスブローバックショットガンの分解レビューは以上になります。
とりあえず駆動系は専用品だらけで現状弄る余地は無さそうですね。
構造も特殊すぎて、これ以上無い位に素晴らしい設計をしているので、そういう意味でもカスタムの余地は無さそうです。
構造的に新しい発見も沢山あり、その中でもノズルの構造はすごいですね。
本当に気合の入った製品だと思います。
また、AK系と言えばエアソフトガンでも外装パーツが溶接されていたり、ピンがカシメられていて抜けない仕様になっていたりと分解に支障をきたす製品も少なくはないのですが、その当たりはいい感じにデフォルメされているというか、形状を変えているおかげで分解し易いのも良いですね。
とりあえず、先述しましたが弄る余地がほとんど無さそう(弄る必要性も無い気がするが…)なので、普通に組み立てていく予定です。
ただしHOPパッキンの品質が相変わらず安定していない印象があるので、ここは要改善箇所のような気がします。
もしかしたらグルーピング改善するかも知れませんし…。