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フロンガスとノンフロンガス比較(HFC134A vs HFC152A vs HFO1234ZE+LPG)東京マルイ G17 GEN5での温度の低下速度と初速差を見ていきます

記事作成日:2024年5月1日

温暖化係数が1であるノンフロンガス(HFO-1234ZEとLPGの混合ガス)が登場した時にHFC134Aとの比較を行いましたが、今回はHFC134AとHFC152A、HFO1234ZE+LPGの3種類のガスの比較を行っていきます。

尚、今まで書いてきたノンフロンガス関連の記事だと『東京マルイ ノンフロン・ガンパワーガスとHFC134Aでマガジンの冷え具合を比較してみた』と、『新作ノンフロンガス、S&T ダンガン ハイパーガスのレビュー、他のガスと比較してみた』という物がありますが、基本的にHFC134Aとノンフロンガスやノンフロンガス同士の比較となっています。

すでに多くの人が知っている通り、フロンガス削減目標に伴い温暖化係数の高いHFC134A(温暖化係数:1430)やHFC152A(温暖化係数:124)は生産数が減らされています。

これらのガスはガスガン用の物だけではなく古いエアコンや冷蔵庫などの冷媒ガスとして使われていたり、比較的最近の物でもエアダスターや制汗スプレー、ラッカースプレーなどでも使われており、生産数自体はもともとかなりありました。

後者のガスはすでに他の温暖化係数の低いガスに置き換えられていますが、リキッドチャージ式のガスガンに関しては使用する製品との組み合わせる上での問題があったりして未だにフロンガスも現役となっていますが、生産数低下に伴い価格もがどんどん上がっていっています。(もちろん、物価高騰の影響もあると思いますが…)

そもそもサバイバルゲームフィールドによってはまだフロンガス以外のガスを認めていない所もあるようです。(レギュレーション上NGでも問い合わせてみたらノンフロンガスもOKと言われる事もある)

自分がサバイバルゲームを始めた頃はだいたい500gのボンベが500〜600円位の値段で購入出来ていたのが、気づいたら1000円に近づいていき、1000円を超え、気づいたら2000円、3000円の世界に…。
今後もどんどん上がっていく事でしょう…(生産数は今後も減っていく為、価格も上がっていく事でしょう)

そんな中登場したのが東京マルイのノンフロンガス、S&Tのダンガンガスのような地温暖化係数が1のガスになります。
ガスガン用のノンフロンガスは基本的にHFO1234ZEとLPGの2種類のガスを混合させ、ガス圧を従来のフロンガスに近づけた製品であるのが特徴です。

LayLax ハイバレットガス 540gはHFC134A、LayLax ハイバレットガス 460mlはHFC152A、S&Tダンガンガス 400mlはHFO1234ZE+LPGとなっています。

尚、1g辺りの値段(定価計算)は下記の通りで、HFC152Aが最も安く、次にHFC134A、最後がHFO1234ZE+LPG(ノンフロンガス)といった感じです。

  • LayLax ハイバレットガス 540g(定価3,300円):1g辺り6.111円
  • LayLax ハイバレットガス 460ml(定価2,640円):1ml辺り5.739円
  • S&Tダンガンガス 400ml(定価2,700円):1g辺り6.750円

Amazonでの販売価格で計算すると下記の通りで、ノンフロンガスであるS&T ダンガンガスのコストパフォーマンスが大きく悪いという結果になりました。

  • LayLax ハイバレットガス 540g(2,480円):1g辺り4.593円
  • LayLax ハイバレットガス 460ml(定価2,640円):1ml辺り4.674円
  • S&Tダンガンガス 400ml(定価2,700円):1g辺り6.650円

フロンガスの値段が上がったものの、今でも基本的にはノンフロンガスよりかは安いようです。

缶には様々な注意書きが入っていますが、HFC134AとHFC152Aに入っている「地球温暖化ガス」の表記がHFO1234ZE+LPGには入っていません。

HFC134AとHFC152Aの表記
HFO1234ZE+LPGの表記

ちなみにHFC134Aは不燃性ガスですが、HFC152AやHFO1234ZE+LPGは可燃性ガスという違いもあります。
厳密にはHFO1234ZE+LPGに関してはHFO1234ZEが不燃性ガス(特定不活性ガス)、LPGが可燃性ガスなので難燃性ガスとして扱われているようです。

検証に使うガスガンと条件

今回、これらのガスを比較するのは東京マルイの最新作、G17 Gen5 MOSです。
スライドにドットサイトが乗っていますが、それ以外は純正のまま特に弄ったりはしていない状態です。

尚、検証時の条件ですが、まずマガジンにガスを充填して常温状態で280gになるようにしてから計測を行っていきます。
東京マルイ G17 Gen5 MOSの純正マガジンは満タンに入れると282g〜283g程度入りますが、条件を揃えやすくする為に280gにしています。
使用しているBB弾は東京マルイ 0.20g 樹脂弾です。

今回の検証ではマガジンを温めた状態から撃っていきガス欠になるまでに何発撃つ事が出来るのかと初速の変化を見ていきます。
尚、射撃は1秒に1発ずつ撃つ感じで、撃ち終わったらマガジン温度の計測を行った後で弾込めを行います。

HFC134A使用時の温度と初速の変化

まずはHFC134Aから。
マガジン温度を40.5度にした状態で1マガジン(25発)打ち切ると31.4度まで下がりました。

そのまま更に25発撃つ(50発目)と26.1度まで下がり、更に25発撃つ(75発目)と23.0度まで下がりました。

更に撃つと85発目で動作を停止し、この時のマガジン温度は24度でした。
弾込め時に温度が回復した為、75発目を打ち切った時よりも温度は上がっています。

初速の推移はこんな感じで、最初は85.5m/s
そこから撃っていくと初速は下がっていき1マグ(25発)撃ち切った時の初速は80.7m/sでした。
その後、は70m/s台に初速が下がっていき50発時点では70.7m/sになっていました。

60発辺りから70m/sを下回り、75発時点での初速は60.1m/s。
その後リロード時にマガジン温度が上がった為初速が75.4m/sまで回復しましたが、83発時点で61m/sまで下がり、85発で完全にガス欠(ブローバックもしなかった)になりました。

初速の推移のグラフはこんな感じ。
マガジン温度の回復速度が非常に速く、1分にも満たないリロード時間でもだいぶ初速が回復している事が分かります。

HFC152A使用時の温度と初速の変化

続いて、HFC152Aでの検証です。
変わらず40度前半からスタートする為にマガジン温度を調整、40.4度から計測をスタートします。
25発撃った時点でのマガジン温度は32.3度でした。

更に撃って50発、75発時点でのマガジン温度はそれぞれこんな感じで、50発時点で26.0度、75発時点では22.4度でした。
温度の変化はHFC134Aの時とそこまで大きくは変わらない感じですね。

100発時点でもまだ動き続け、102発の段階でガス欠となり動作を停止しました。
100発時点でのマガジン温度は20.7度、102発時点でのマガジン温度は21.6度(これもリロード中に温度が回復している)といった感じです。

初速の推移はこんな感じ。
まずスタート時点の初速がHFC134Aよりも10m/sも高く94.7m/sからのスタートでした。
HFC152Aってこんなに高初速叩き出すんだっけ?と思って同条件で他機種でも軽く検証しましたが、どうやらマガジン温度が高い状態だとHFC134Aよりもかなり高い初速になる事があるようです。
普段HFC152Aを使わないので今まで知らなかったです…。

25発時点での初速は86.1m/s(この時のマガジン温度は32.3度)とHFC134Aのマガジン温度40度時点の初速と近い状態になり、50発時点での初速は78.88m/sでした。

75発になると70m/sを下回りますが、リロード時に温度が回復してすぐに初速が上がり70m/s前半まで上がっていました。
そして、100発時点での初速が60.7m/sでした。

グラフはこんな感じ。
初速の低下具合はHFC134Aよりも少し急ですが、持続時間は高いようです。

HFO1234ZE+LPG使用時の温度と初速の変化

最後にHFO1234ZE+LPGのノンフロンガスです。
こちらもマガジン温度40.4度からスタート、1マガジン(25発)打ち切った状態では33.0度でした。

2マグ(50発)時点では27.7度、71発目でガス欠となりました。
ガス欠直後の温度は26.3度とマガジン温度が下がり切る前にガス欠になった感じがあります。

初速の推移はこんな感じ。
尚、1発目のキャプチャを忘れてしまいましたが90m/sちょいからのスタートとHFC152A程ではありませんがHFC134Aよりも初速は高めな状態からスタートしています。
これは過去に自分が経験している事でした。(ノンフロンガスの方が初速が高めに計測される)

25発時点での初速は81.9m/s、50発時点では69.6m/s、ガス欠直前の70発目直前位で60m/s台を下回るといった感じです。

初速の変化の推移はこんな感じ。
初速の低下率が一定で安定している感じがします。

温度と初速の変化をグラフ化してみた

これらのデータを元に簡単ではありますがグラフにしてみました。
青色がHFC134A、オレンジ色がHFC152A、緑色がHFO1234ZE+LPGです。

初速の変化
温度の変化

初速に関しては全体的にHFC134Aが高く、HFO1234ZE+LPGは高温時の初速が高めですが途中でHFC134Aに追い抜かされます。

温度に関してはHFO1234ZE+LPGの温度低下率が低めでHFC134AとHFC152Aはほぼ同じという結果になりました。


という訳で、今回の比較はこんな所です。
基本的に今後はフロンガスはどんどん減っていってノンフロンガスが主流になるのではないかと思います。
もっとも、値段は高くはなるもののHFC134Aなどのフロンガスも販売は続くとは思いますが…。

ASGK以外の遊戯銃協会(JASG、STGAなど)はCO2製品の開発・発売も行っているので、ASGK以外に所属するメーカーはCO2を使用したガスガンが今後も増えていってシェアを伸ばしていくという道もあると思います。

とは言え、昔みたいな維持コストではガスガンが使える日は戻ってこないでしょうね…。
それこそ圧縮空気を使っていた外部ソースの時代に戻るしか…。

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