エボログ

Silverback MDR-X用のV3 ECUアップグレードキット(T238製基板)が届いたのでレビューします

記事作成日:2024年9月19日

Silverback AirsoftがMDR-Xの新型ECUを発表し、V3アップグレードキットとしてMDR-XのV1/V2所有者に対して配布を行っていたので申し込みました。

前回のアップグレードキット(V2)配布時は購入証明書とシリアルNOが必要でしたが、今回はシリアルNOと撮影日、名前などの情報を記載した付箋を一緒に撮影した写真を送るというスタイルになっていました。

V3 ECUはスタンダード電動ガン用のECUで有名なT238が制作しており、バースト制御、DMR(遅延射撃)、フルオートの発射サイクル制御、プリコッキング、スリープまでの時間、アクティブブレーキ、バッテリー保護機能の調整が出来るようになりました。

元々(初期ECUとV2 ECU)はプリコッキングも無くアプティブブレーキも固定で、設定出来るのはジャンパピンによる簡易的なバッテリー保護機能のみだったのですが、遂に一般的なカスタムECUで出来る制御が一通り出来るようになった感じですね。

MDR-X用V3アップグレードキットについて

という訳で、V3 アップグレードキットはこんな感じ。
『V3 ECU』と記載された箱の中に基板が1つだけ入っています。

尚、箱に印刷されているQRコードはマニュアルのダウンロード用です。

去年配布されたV2アップグレードキットの時は基板の外に色々と改修されたパーツが入っていましたが、V3アップグレードキットは基板のみです。

V2アップグレードキット

V3 ECU本体にはプログラム用のスイッチとLEDが付いています。
外装は黄色い樹脂パーツで覆われており、SILVERBACK X T238と文字が入っています。

また、トリガー側から伸びる配線を繋ぐ4ピンコネクタ意外に、用途不明の3ピンコネクタが付いています。
尚、純正基板に付いていたジャンパピンは無くなっています。

基板側はこんな感じ。
初期ECUとV2 ECUはエポキシ樹脂っぽい物でガチガチに固められていましたが、V3は表面が剥き出しになっています。

バッテリーコネクタはディーンズ、モーターコネクタはL字タイプの物が付いています。
尚、配線はかなり細く、外径が1.79mmしかありません。
元々そんなに太い配線が付いていた訳では無いですが、更に細くなっていますね。

V3 ECUの組み込みについて

という訳で、V3 ECUを組み込んでいきます。
まずテイクダウンを行い、メカボックスを取り外し、基板(V2 ECU)も取り外します。

ちなみに、純正状態から交換するのであれば、テイクダウンした段階で基板を取り外す事が出来るので、メカボックスを取り外す必要は無いです。

自分は最初の調整時に逆転防止ラッチを外しており、そのままではV3 ECUのプリコッキングが使えない為、逆転防止ラッチを戻す為にメカボックスまで分解する必要がありました。

ちなみに、V2 ECUとV3 ECUを並べるとこんな感じ。
初期ECUとV2 ECUの違いは少なかったですが、今回は基板自体の大幅変更に加え、配線の長さやレイアウトが変わっており、バッテリーコネクタの長さがかなり長くなっている(倍近い長さ)事が分かります。

という訳で、逆転防止ラッチを取り付けます。
純正ECUとV2 ECUではギアがオーバーランする事が無く、プリコッキングも無かったので逆転防止ラッチは要らないと判断して外したのですが、V3 ECUではプリコッキングの設定が出来るようになったので、今回戻す事にした次第です。

V3 ECUを取り付けてモーターに配線を接続します。
とりあえず、説明書通りに普通に配線を繋いだのですが、これだと駄目っぽかったです。

というのも、このままレシーバーを閉じようとすると-側の端子がQDスイベルの内側部と干渉して、レシーバーを閉じれませんでした。
無理に閉じようとすると多分端子を歪めてしまうと思います。

その為、モーターを回転させてコネクタの向きを変更しました。
+側の配線がちょっと無茶する感じになっていますが、ーよりも+の方が若干配線が長く、こういうレイアウトにしても配線を無理に引っ張るような状態でも無いのでまあ、これで良いかなと。

という訳で、これでMDR-XへのV3 ECUの取り付けは完了です。

V3 ECUのプログラミングについて

冒頭でも紹介しましたが、V3 ECUはT238製品なだけあって一般的なECUの設定が一通り出来るようになっています。

設定可能な内容とチャートはこんな感じ。

  1. シューティングモード:フルオートセレクターの設定(フルオート、2〜5点バースト、バイナリ、セミオート、セーフティ)
  2. DMR クールダウン:次弾発射までのディレイ時間設定(OFF、0.5秒、1秒、1.5秒、2秒、3秒、4秒、5秒)
  3. 発射サイクル:発射サイクルを低下させる設定(100%から10%刻みで30%まで低下)
  4. プリコッキング:何ミリ秒オーバーランさせるかの設定(OFFと40msから5ms刻みで最大80ms)
  5. スリープモード:指定した時間放置されると電力消費をカットする為、再起動にはバッテリーの挿し直しが必要になる(1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、OFF)
  6. アクティブブレーキ:モーターに急制動を掛ける設定(100%から20%刻みで低下、無効化する事も可能)
  7. バッテリー保護:1セル辺りの電圧が何Vになったら動作を停止させるかの設定(1セル辺り3.3Vから0.1V刻みで3.0まで下げる事が可能。無効化する事も可能)
  8. メモリの読み取り:shot count. / prog. valuesと記されていますが、何の機能なのかよく分からないです…(発射回数?プログラムの値?)その横の「Pull the trigger 5s to leave the reading mode.」という文字も気になりますが、データの吸い出しに使う機能でしょうか…。(用途不明の3ピンと関係があったりするのかも )

という訳で、このチャートを見ながらトリガースイッチと基板側面のスイッチを押してプログラミングを行います。
その為、テイクダウンをしていない状態でのプログラミングは出来ないです。

トリガースイッチは設定項目の選択で使用
基板側のスイッチは設定の決定で使用

まず、バッテリーを繋いだらトリガースイッチを1回押します。
これでバッテリーのセル数+電圧チェックを行い、7.4Vが繋がっていたら2回、11.1Vだと3回ビープ音が鳴ります。

ビープ音が鳴った後、直ぐにトリガースイッチを5秒長押しします。
そうすると基板のLEDが2秒点灯するので、これでプログミングモードに入った事が分かります。

尚、トリガーの長押しが間に合わず、もう1度ビープ音が鳴ってしまうとプログラミングモードに入れていない証拠で、トリガースイッチを押すと射撃されてしまいますが、そのまま5秒間長押ししているとプログラミングモードに入れます。

プログラミングモードに入れたらトリガースイッチを押していき、設定したい機能を選択、その後基板側のスイッチを押して機能の設定に入り、再度トリガースイッチを押して、設定内容を選択します。
その後、基板側のスイッチを長押しし、ビープ音が鳴ったら設定完了という感じです。

とりあえず参考までに、バッテリー接続からプリコッキング設定の流れはこんな感じ。
距離の離れた2つのボタンを押すので少しクセのある設定方法ですが、ちゃんとビープ音とLEDの点滅を確認しながらやればそこまで困る事は無いと思います。

とりあえず、発射サイクル80%、プリコッキング45ミリ秒、スリープモード4時間にしてみました。
それ以外の設定はデフォルトです。

プリコッキングのお陰で初動がめちゃくちゃ速くなりました。
が、弾詰まりしているような動作音なのがめちゃくちゃ怖いですね…。(カメラのマイクだとうまく録れてませんが、結構怖い音が鳴ってます)

もっとも、トレポンとかKATANAシステムのプリコック化も似たような音が鳴るので、ピストンヘッドでノズルを後退させる構造の製品はこういう音が鳴るんだと思います。

プリコッキングの解除について

V3 ECUにはプログラムでのプリコッキング解除はありません。
プリコッキングの解除(ピストンのリリース)は逆転防止ラッチを押す事で行います。

MDR-Xはテイクダウンした状態で逆転防止ラッチにアクセスする事が出来るので、プログラム上のプリコッキング解除機能は要らないという判断なのでしょうね。


という訳で、Silverback MDR-XのV3アップグレードキットの紹介は以上になります。

Silverbackと言えば、別売りの純正オプションパーツが豊富なメーカーという印象があるのですが、MDR-Xに関してはアップグレードキットを無償で配布してくれているのが物凄い意外なんですよね。

同社のSRSしかりTAC41しかり、純正オプションパーツにはお世話になっていて、MDR-Xも後から出る純正オプションパーツを買う事を覚悟していたのですが…。

細かなパーツの調整レベルならまだしも、基板とか高価な物すら無償提供ですからね。