ARES KAC STONER LMG 2020年モデルの分解レビュー(主に内部パーツのみ分解)
記事作成日:2024年12月6日
ARES製電動LMG、KAC STONER LMGの2020年モデルを分解していきます。
2020年モデルはBOXマガジン内バッテリーを採用している製品になります。
開封レビューも書いているので、仕様や外観、箱出し性能についてはこちらをご参照ください。
バレル回りの分解について
まずはバレルを外します。
本製品のバレルはレシーバー上部のボタンを押す事でワンタッチで取り外す事が出来ます。
実銃のバレル交換ギミックを再現しているのだと思いますが、実銃ほど強固に固定されている訳では無いです。
単にチャンバーをメカボックスに押し付けるスプリングで前後のガタツキを抑えているだけで、それなりにガタツキがあるので、この銃で精度を高めるならまずバレルのガタツキを抑える方法から考えないといけないでしょうね。
チャンバーはこんな感じで、アウターバレル上部のネジで固定されています。
スプリングテンションが掛かっているので、チャンバーを押しつけながら外すと良いと思います。
チャンバーからHOPダイヤルを外し、バレルクリップを抜いてチャンバーとバレルを分離させます。
HOPダイヤルはこんな感じで1回転はしないですが、全周に溝が掘られている無段階調整仕様です。
このHOPダイヤルは軽くOリングが当たっている程度なのでかなり緩いです。
Oリングを一回り大きな物にするかしないと、射撃時の振動で緩んでしまうでしょう。
HOPパッキンはこんな感じ。
見ての通り、かなり特殊な形状のHOPパッキンで、A&K M249用の物と似ているようで似ていない物な気がします。
よくある電動ガン用のHOPパッキンよりも肉厚ですがGBB用ほどでは無い程度の厚みで、口の部分の形状は先端が窄んでいない、単なるゴムチューブみたいな形をしています。
LMG系は特殊なHOPパッキンを採用している製品も少なくはないですが、本製品も特殊な形状をしていますね。
尚、硬度は60〜70度程度な感じで少し硬め。
HOPパッキンの突起はV字タイプです。
インナーバレルは真鍮製でHOP窓は前後が若干ハの字になっているタイプです。
インナーバレルは特殊な形はしておらず、電動ガン用の物ですね。
尚、バレル長は378mmです。
レシーバーの分解とメカボックスの取り外しについて
続いて、レシーバー側を分解していきます。
まず、ストックをロックしているレバーを押した状態でストックを下側にスライドさせます。
スライドさせると言ってもかなり硬く、手で押してもびくともせずゴムハンマーで叩いてようやく外れましたが、若干モーターホルダー部と配線が飛び出しているので勢いよく外して配線を傷つけないように気をつける必要があります。
続いて、レシーバー前側に付いているピンと、ストック機部側の下部に付いているネジ2本を外します。
尚、ピンは抜く方向が決まっているので、向きには気をつける必要があります。
これでメカボックスがくっついているロアレシーバーをレシーバーから分離させる事が出来ます。
アッパーとロアーを分離したらロアレシーバー側のパーツを外していきます。
まずはグリップ。
こちらはリアル形状の物で、グリップ内側からネジで固定されています。
ロアレシーバーからメカボックスを取り外すには接点部に付いているネジ4本とレシーバー脇にささっているピン2本を抜きます。
この状態でメカボックスを少し前にスライドさせた後、上に引っ張るとメカボックスとロアレシーバーを分離させる事が出来ます。
レシーバーからメカボックスを分離させるまでの作業はかなり簡単に行えますね。
電装系、駆動系がメカボックス側に集約されているのも良いです。
これは良い構造だと思います。
ロアレシーバー内側はこんな感じ。
メカボックスはこんな感じ。
LMG用メカボックスらしい細長いレイアウトで、ギアもほぼ一列に並んでいる事が分かります。
また、シリンダー部に穴が開いていないのがユニークですね。
メカボックスの上部に付いている背骨とスプリングガイドを固定しているネジを外します。
スプリングガイドはQD仕様になっているので、メカボックスを分解する前に外しておきます。
本製品のリコイルスプリングはARES製品おなじみの、樹脂製ガイドにダイカスト製の基部が付いているタイプ。
ダイカスト部が脆く、極端に硬いスプリングを組み込むと壊れるので組み合わせるスプリングには注意が必要です。
メカボックスの内部パーツについて
メカボックスを固定しているネジを外して、メカボックスを開けます。
相変わらずARESのメカボックスは軸受が固定されておらず、抜けます…というか、軸受の外径とメカボックスの穴のサイズが合ってないです。
ではメカボックス内部のパーツを見ていきます。
組み込まれているマイクロスイッチはAC125V/15Aの物。
電動ガンで採用されているのをよく見かけるマイクロスイッチで、オムロン製のV-16-1A5型マイクロスイッチと互換性があります。(V型とも呼ばれるもの)
本製品は台湾系電動ガンでの採用されているのを度々見かけるVMS15というマイクロスイッチで、S&TやZCなどから補修パーツとしても発売されています。
ドーヴテイル部に付いている接点はこんな感じ。
見ての通り、3つの接点から3つの配線が伸びています。
前後の接点はそれぞれ+と-になっており、中央の接点は+側に繋がっている事から、スイッチが押された時に中央の接点にも通電するようになっているようです。
この構造からBOXマガジン側の巻き上げ機への通電はトリガーを引いていある間という事が分かります。
尚、ヒューズなどは付いていません。
組み込まれているギアはARES製品を始め、多くの台湾系電動ガンで採用が確認されており、SHSやZCなどの名義でも単品発売されている粉末焼結ギア。
ギア比は18:1、逆転防止ラッチのカム枚数は4枚で、セクターギアには樹脂製のセクターチップが付いています。
軸受はベベルギア用にボールベアリング、スパーギアとセクターギア用にステンレスベアリングが採用されています。
このレイアウトもいつものARES製電動ガンですね。
吸気系はこんな感じ。
タペットプレート用の引きバネがかなり短い位に変わった感じは無いです。
尚、シリンダーはステンレス製のフルシリンダーです。
ノズルは先端が真っ平らになっているタイプで長さは16.24mmと結構短いです。
タペットプレートはこんな感じで、見ての通り羽の部分が歪んでいます。
この程度の歪みなら動作に支障は無いですが、変な負荷が掛かる可能性があるので強度が不安ですね。
ノズル側の角度は問題無さそうですが…。
ピストンはこんな感じで全金属歯。
ラックギアは2枚目が半分の高さになっています。
ピストンヘッドは樹脂製の後方吸気仕様。
ピストンの重量は27g。
この辺りもARES製電動ガンでは一般的な物ですね。
モーターは同社製品おなじみの薄型モーターに似ていますが、短いです。
トルクはそれなりに高いですが全然回らないモーターのようです。
ピニオンギアはイモネジ固定のD型。
形状が特殊過ぎるので、モーターの交換は難しそうですね。
トリガーはこんな感じ。
専用設計で、マイクロスイッチを押すだけの構造になっています。
BOXマガジンの分解
最後にBOXマガジンを分解していきます。
まず、周囲に付いているネジを外し、ナイロン製のカバーを外します。
その後、内側の黒いパーツを外します。
巻き上げ機には電力用のケーブルの外に赤、黒、黄の3本の細い線が伸びている事が分かります。
この3本の線はスイッチに繋がっているので、スイッチの切り替えを巻き上げ機に伝える物のようです。
ドーヴテイル側に繋がる端子の内側はこんな感じ。
丸型圧着端子がナットで固定されているのはさながら配電盤のようですね。
一通り中身のパーツを外していくとこんな感じ。
巻き上げ機の制御基板はこんな感じ。
やっぱりスイッチの操作によってモーターの回転数が変化するような仕様のようです。
基板の裏面にはMA01 Ver:2.1 03/30-2019とバージョンと製造年月日と思われる記載があります。
巻き上げ機本体はこんな感じ。
モーターはFA-130型、モーターの回転を巻き上げ機に伝える接続部はVIGOR BO-8が使われています。
巻き上げ機の構造は多弾数マガジンと同じような構造になっています。
ゼンマイで回すか、モーターで回すかの違いだけのようですね。
という訳で、ARES STONER LMGの分解レビューは以上になります。
基本的に内部パーツの分解しかやっていませんが、外装パーツを分解しても特に出来る事は無いと思うので、内部のみ分解しています。