ピストンやシリンダー、ノズルなどの吸気系パーツの選定や調整で気をつけているポイント【E&C 329E COLT M653内部カスタム】
記事作成日:2022年8月10日
開封レビューと分解レビューを行ったE&C 329E COLT M653の内部を弄っていくのですが、いつも通りの内容だと対した変化が生まれないので、ちょっと深堀りした記事を小分けして投稿していく形にしてみようと思います。
という訳で、当記事では『ピストンやシリンダー、ノズルなどの吸気系パーツの選定や調整で気をつけているポイント』という事で、吸気系の調整に重点を置いて紹介していきます。
主に個人的にいつも考えているパーツの選び方、組み込み時に気をつけている点を紹介していきます。
尚、当記事の内容は今回やろうとしている構成を実現する為の物なので、カスタム内容によってはパーツ選びにおいて大きく考え方を変える場合もあります。
ただ、調整方法に関してはどのようなカスタムであっても、大きな違いは無いと思います。
また、精密射撃に特化するようなカスタムに関しても少し考え方が変わってくるのでその点ご了承下さい。(精度に関する話しは少し記事中でも触れます)
あと、個人的な話しなので別にこれが正解という訳でも無いので、そちらもご了承下さい…。
全体のざっくりしたカスタム内容について
まずカスタムをする上で全体をどういう構成にするかを、ざっくりでも良いので考える必要があります。
どんな物事でも設計が無いと何も出来ず、行きあたりばったりでうまくいく事は少ないです。
基本的に自分はエアガンを買う前に「こんな感じのにしよう」と非常にざっくりした事を考えており、分解時に「このパーツを買い足さないといな、このパーツはこれが使えるな」という事を考えながら分解しています。
また、カスタム前に必要になるパーツを一通り購入し、カスタムは用意したパーツを組み立てていくだけという作業になります。
特殊な構造の製品だと分解しながら「こういう構造なら、こういう事も出来るのか」みたいな事を思いついて、やってみる事もありますが、基本的には元々やりたかった事を実現する事が多いです。
今回の構成のコンセプトは『ロングバレル版 次世代MP5A5』で、要点は下記
- バレル長はなるべく純正サイズのまま(363mm)
- シリンダー容量は極力少なくし、加速シリンダーを活かす
- 強いHOPを掛けた時でもしっかりBB弾を押し出せる重いピストンと、程よい硬さのピストンスプリング
- 低回転ハイトルクモーターを使ってサイクルはあまり速くならないようにしつつ、オーバーランも少なめに
- モーターの回転数の少なさを補う為に16:1のギアを組み込んで、発射サイクルを調整
- HOPパッキンは在庫処分として、さっさと消費したい奴を適当に
こんな感じで考えています。
ピストンヘッドの選定について
ピストンヘッドは材質と形状という選択肢が存在します。
材質は主に金属か樹脂かの二択で、金属を使う場合はピストンヘッドを重くしたい場合に使ったりしますが、それ以外は基本的に樹脂で問題無いと思います。
形状に関しては吸気をどの方向から行なうかによって3種類存在します。
前方吸気ピストンヘッド
まず、前方吸気と呼ばれピストン後退時にノズル側からシリンダー内に空気を取り込む仕様の物で、東京マルイは基本的にこの形状のピストンヘッドが採用されています。
前方吸気のメリットとしてはノズル側から空気を吸い込む特性上、多少弾上がりが悪かったりしても吸気によってBB弾が引っ張られるので給弾されるというのがあります。
デメリットとしてはシリンダー内部に砂埃などを吸い込みやすく、シリンダー内部が汚れやすくなるというのがあります。
また、前方吸気のピストンヘッドを使う場合はノズルも前方吸気に対応する物を選択する必要がある為、ノズルの選定時にも注意が必要になります。
もし前方吸気に対応していないノズルと組み合わせてしまうとピストン後退時の抵抗が著しく上昇し、最悪ラックギアが破損してしまう可能性があります。
これに関してはノズルの説明をする際に詳しく触れていこうと思います。
カスタムする上でこれを使わないといけないというシチュエーションはあまり思い浮かばないですが、強いて挙げるならフルシリンダーを効率よく使うなら前方吸気が良かったりします。
後方吸気ピストンヘッド
前方吸気ピストンヘッドの逆の仕様として、後方吸気ピストンヘッドという物があります。
これはピストンヘッドに穴が空いており、ピストン前進時はOリングによって気密が保てるのですがピストン後退時はピストンヘッドの穴から空気がシリンダー内に流れ込むので、ピストンヘッドの後ろ側から吸気するという仕組みになっています。
その為、後方吸気と呼ばれます。
後方吸気ピストンヘッドに空いている穴の個数、大きさ、形状など色々なバリエーションがありますが、正直そこまで劇的な変化を感じた事は無いです。
一応、穴が大きい方がOリングが勢いよく広がり、穴が小さいとOリングが広がり気密が保たれるまでの時間が長くなるので、セッティングによっては微調整程度には使れます。
また、精度を重視する場合ピストンの減速速度も気をつける必要があるので、そういう場合はピストンヘッドの穴を小さい物にし、加速シリンダーを使ってもシリンダーの内圧を急激に上昇させないようにするという使い方が出来たりします。
後方吸気を採用するメリットとして挙げられるのは、前方吸気に比べてピストンの後退速度が上がり、ピストンを引く際のギアへの負荷が減るのでハイサイクル系カスタムにおいては結構重要になってきます。
また、負荷が減る事によりモーターの発熱を抑える事が出来ます。
また、前方吸気よりもグリスの粘度や量について気をつける必要があったりします。
とは言え、これに関しては前方吸気でも同じなので、後方吸気特有の問題という訳でもないと思います。
大きなデメリットも無く、ちゃんと組んでいれば特にトラブルは起きない形状なので基本的にこの形状の物を使って問題は無いと思います。
ただし、前方吸気と違って弾上がりを改善する効果が無いので、弾上がりが著しく悪く改善する事も出来ない場合は後方吸気ではなく前方吸気を使った方が良い場合もあります。
側面吸気ピストンヘッド
Oリングを用いたピストンが登場して何十年経ってるのかすらちゃんと把握していませんが、とりあえず長らくの間はこの前方吸気と後方吸気の2択でしたが最近は側面吸気という新しい物が登場しています。
構造的には前方吸気の穴の位置をピストン側面にズラしたようなもので、DCI Gunsがこの構造のピストンヘッドを作っています。
正直、後方吸気ピストンヘッドと比べてどっちが良かったとかそんな感覚は無い気がするのですが、DCI Gunsの側面吸気ピストンヘッドには1個660円もする(昔は2個440円だった)高価なピストンヘッド用OリングであるG.A.W. FRUS-Oリングが採用されている為、これを変えば手持ちの在庫を減らす必要が無い為、私はこのピストンヘッドをよく使ってます。
基本的にOリングのサイズはピストンヘッドの寸法やシリンダーの内径と合わせて調整する必要があるので、その度に在庫が減るのですが、DCI Gunsの側面吸気ピストンヘッドを使っておけばプラマイゼロに出来ます。
それ以外のメリットは個人的に後方吸気とあまり変わらないと思っています。
実際、後方吸気ピストンも度々使いますが、特に使い勝手や完成した電動ガンの仕様で大きな違いを感じる事は無いですね。
ダンパー付きピストンヘッドについて
ちょっと特殊な形状のピストンヘッドであるダンパー付きピストンヘッドについても触れておきます。
こちらのピストンヘッドは静音性を高める為のクッションやエアダンパーが付いています。
このピストンヘッドを使う場合、対応するシリンダーヘッドを使う必要があるので注意が必要です。
対応していない物を使うと静音効果を高める事が出来ない可能性がある他、最悪の場合ピストンヘッドやシリンダーヘッドの破損にも繋がります。
また、エアダンパー付きのピストンヘッドを使う際もシリンダーヘッドの形状に気をつける必要があります。
例えばエアダンパーの突起がシリンダーヘッドの穴まで届いていないような状態だと消音硬化は生まれませんし、逆にダンパーの突起がシリンダーヘッドに刺さった時に引っかかってしまうようなタイトな物でも良くないので、適切なサイズの物を選ぶ必要があります。
ピストンヘッド用のOリングの選定について
ピストンヘッドのOリングはそこまで深く考える事は無いですが、寸法チェックがかなり重要になるパーツなので、同一製品を複数個用意しておかないと詰むか妥協するかの2択になります。
Oリングの材質と硬度について
そこまで深く考える必要はありませんが、まずは材質についても軽く触れておきます。
ピストンヘッドに取り付けるOリングは自分が知っている限り、ニトリル、ウレタン、シリコン、フッ素のだいたい5種類+G.A.W. FRUS-Oリングに使われている物(素材不明)です。
王道で癖も無いのはニトリルです。
ウレタンはメリットどころかデメリットの方が多く、摩擦には強いらしいですが熱に弱いので負荷が高いセッティングでは駄目になる事が多いのでお勧め出来ないです。
シリコンは耐熱性が高いのでシリンダーの内圧が非常に高いセッティングやハイサイクルに向いていますが、シリコンを腐食させてしまうグリスを絶対に使ってはいけないので、ちょっと使い勝手が悪い印象があります。
摩擦に弱いのでグリスのような潤滑剤は必須なので、ピストンに使う材質としてはちょっと扱いが難しいです。
フッ素は値段が張りますがニトリルよりも滑らかなのでハイサイクル系に向いています。
G.A.W. FRUS-Oリングは耐熱性も耐摩擦性高く、表面も滑らかなので全ての上位互換な感じです。
その代わり、フッ素と同様に値段が張るのがネックです。
普通に使うならニトリル、拘るならフッ素やG.A.W. FRUS-Oリングといった感じで自分は考えています。
また、硬度についてはそこまで選択肢がある訳では無いですが、基本的にシリンダーの圧力が非常に高くなる、高負荷なセッティングにならない限りは硬度の高い物をあえて選ぶ必要は無いと思います。
Oリングのサイズについて
電動ガンのピストンで使用するOリングはボアアップシリンダー用じゃない限り、外径24mm、内径19mmという規格ですが、コンマ数ミリ単位で微妙に大きさが異なる為、組み合わせるピストンヘッドやシリンダーとの相性が存在します。
Oリングのサイズを調べるにはシリンダーやシリンダーヘッドの仕様も固める必要があります。
ピストン周りのパーツ選定が全て終わった後でOリングは決めると良いでしょう。
また、適切なOリングのサイズを見つける為にOリングは大量に用意しておく必要があります。
自分は常に10個程度のG.A.W. FRUS-Oリングを用意していますが、これでも足りないと感じる事が少なからず存在します。(どうしても見つからない場合はシリンダーを変えるか、Oリングはニトリル系が30〜40個程あるので、それを使う事もある)
適切なOリングのサイズを見つけるにはグリスを塗布していない状態でピストンをシリンダーに入れ動かします。
後方吸気の場合は加速ポートよりも後ろや、ノズルがスカスカな状態だと自重で落下する程度にはスルスル動き、ノズルを指で塞いだ時に抵抗が高まりピストンがピタッと止まればOKです。
前方吸気の場合は自重で落下する程スカスカだと気密が保てないので、程よくタイトな物を選べば良いと思います。
ピストンのOリングのサイズはかなり好みが分かれると思いますが、自分は加速シリンダーの場合シリンダー内径に対してやや小さめなサイズでで、オイル無しの状態でピストンの自重で落下できる程度が好きです。
— エボログの中の人@3Dプリント楽しい (@Evolutor_web) July 26, 2022
加速ポートの終わりでOリングが広がり、気密を保ちます。 pic.twitter.com/AzdB4k0NG3
尚、フルシリンダーを使う場合はちょっとタイトめなOリングを使った方がよかったりします。
ピストンの選定について
ピストンはロングピストンやショートピストン、13枚歯仕様やDSG用などの特殊サイズを除けば2種類のみで、フルティースかハーフティースのどちらを組み込むかを選びます。
フルティースはラックギアの幅が横いっぱいに広がっている、スタンダード電動ガンでは最も一般的な形状の物で、ハーフティースはラックギアが半分しか無い物です。
ハーフティースが必要になるのは次世代電動ガンや32:1ギアを使った場合のみで、それ以外はフルティースを使えば良いです。
別に18:1などハーフティースを使う必要のないギアでハーフティースを使っても良いですが、あえてハーフティースを使うメリットは特に無いと思います。
ラックギアの仕様が決まれば、後はピストン本体の材質が樹脂かアルミか、ラックギアの何枚が金属かというだけです。
ピストン本体の材質について
ピストンのボディの材質は樹脂とアルミ(狂気的な製品に真鍮製やスチール製などもある)がありますが、普通の構成においてアルミを使う利点は無いと思います。
むしろメカボックスの消耗を速めたり衝撃が加わった時に歪んでしまい歯のかみ合わせが悪くなってしまったりとデメリットの方が多いです。
アルミピストンを使った方が良いケースとして挙げられるのは、ピストン連動のリコイルユニットを搭載しており、ピストンにただならぬ負荷が掛かる場合か、ピストン重量をとんでもなく重くしたい場合位です。(真鍮製、スチール製は主にその為の物、通称メカボブレーカー)
それ以外のセッティングでアルミピストンが必要になる事は無いと思います。
ピストンの破損防止の為にアルミボディのピストンを使っている人が居るようですが、そもそもピストンの破損って元々相当脆い材質だった場合を除いて、そうそう起きないはずなんです。
壊れるとしたら相当使い込んだ事によるパーツの寿命か、セッティングミスや弾詰まりなどによるギアクラッシュが原因なので、普通に使っていればそうそう壊れる事は無いパーツです。
わかり易い例として、あまり使ってないのにこういう壊れ方をした場合、大体はピストンの問題ではなく単なるセッティングミスか、弾詰まりをしたまま撃ったとか、そういうのが理由です。
「ピストンが削れてる!→強度が無いからだ!→強度を上げよう」という思考でどんどん強度を上げていくと、「バランス狂ってるけど、パーツの強度が高いからなんとなく動いている」という状態になり、最終的には駆動系含め全部のパーツが駄目になる可能性があります。
なので、ちゃんと組んでいれば基本的にピストンの材質は樹脂で大丈夫です。
樹脂ピストンに使われる材質にもいくつか種類があり、FRP、ポリカーボネート、ジュラコン/POMなどです。
自分はそこまで気にしている訳では無いですが、一応素材についても軽く触れておきます。
FRPのピストンについて
FRPは東京マルイ純正他、海外製品や強化ピストンなどでもよく使われているのを見かけます。
程よく粘り気があり壊れにくいです。
何とファイバー繊維を混ぜているかはメーカーによって様々ですが、強化パーツとして販売されている物はナイロンと混ぜ、POM以上の強度を誇る物も存在します。(GFRPなど)
基本的にこれを使っておけば大きなトラブルは起きないと思います。
ポリカーボネートのピストンについて
FRPと同様にメジャーな材質で、海外製電動ガンでは度々ポリカーボネートを採用している製品を見かけます。
明らかにポリカーボネートだと分かる物は半透明の物で、昔のVFC製電動ガンで使われていた水色のピストンが有名じゃないかと思います。
ただし、透明じゃない物も多数存在します。
ポリカーボネートの特徴はFRPに比べて摩擦抵抗が少なく、ピストンを高速で動かす事が出来るという事です。
ただし、製品によっては妙に壊れやすい(砕けやすい)物もあるので注意が必要です。
特に透明な物は割れやすい(削れたり凹んだりはしにくい)印象があります。
ジュラコン/POMのピストンについて
ジュラコン(POM)で出来たピストンは基本的に高級カスタムパーツで、ピストン1個で4000円を超える物が殆どです。
有名なのはRetroArms製だと思います。
FRP以上の高耐久性を持ち、滑りも良いので全てにおいて上位互換です。
まず壊れません。
基本的に全金属歯になっている物が多いです。
ラックギアの金属歯について
セクターギアと噛み合い、ピストンを後退させる為に付いているラックギアには大きな負荷が掛かるので金属歯が必須です。
例えば東京マルイ製品や多くの電動ガンは最後の1枚だけ金属歯になっています。
ラックギアの一番最後は一番負荷が掛かる場所なので、金属なのは必須です。
カスタムパーツでは全ての歯が金属になっていたり、3〜7枚程度が金属歯、残りが樹脂歯になっている物が存在しますが、何枚が金属歯だとかは個人的にそこまで重要としていません。
ただし、負荷が高いセッティングで組んでいるなら引き終わりの負荷が非常に高く、樹脂歯だと変形してしまう場合があるので最後の歯が3〜5枚程度が金属歯だと安心ですが、そうじゃないなら1枚金属歯でも問題無いです。
全金属歯が必要になる状態は、樹脂のラックギアが変形してしまうレベルの高い負荷を掛けるセッティングか、ハイサイクルなどで大量の弾を発射する使い方をするせいで単純にピストンの摩耗速度が速い場合くらいだと思います。
樹脂歯の状態で2万発程度撃ってもピストンの消耗はほぼ無い事が殆どです。(1回/1日のゲームで1000発撃つなら20回/20日ノーメンテで遊べる計算)
また、負荷の掛かるセッティングとしてDSGや流速チューン、プリコックなどもありますが、発射弾数さえ異常な量になっていない限り、別に樹脂歯でも耐えれます。
それと、非常に硬いスプリングを入れつ本当にギリギリまでプリコック(ラックギアの最後の1枚だけセクターギアに噛み合っている状態)させた場合は金属歯1枚ではそこに負荷が集中して折れてしまう可能性があるので、2枚以上金属歯の製品を使った方が良いです。
もっとも、カスタムパーツは殆どが全部金属歯のピストンなので、色々弄ろうと思うと必然的に全金属歯ピストンになってしまうケースが多いですし、海外製電動ガンは純正状態で全金属歯のピストンが採用されている場合も多いので、自分もよく金属歯を使っています。
金属ラックギアの接着について
ピストン本体とラックギアのクリアランスが大きく、ガタついてしまう場合は一番奥まで挿し込んだ状態で接着剤で固定する場合がありますが、これはラックギアの強度を高める為ではなく、あくまでガタツキを抑える程度のものです。
ラックギアの歯の枚数について
基本的にピストンのラックギアはセクターギアの枚数分存在するので、ピストンにも15枚の歯が付いています。
ただし、よく14枚歯とか14.5枚歯とか歯の枚数が少ない表記になっている物もあります。
これらはラックギア削られている製品のことで、14枚歯は1枚目が全部無くなっており、14.5枚歯は1枚目が半分になっています。
製品によっては13.5枚歯みたいに1枚目が全部無くなり、2枚目が半分になっている物もあります。
こういうピストンが何故存在するのかと言うと主に2つの理由があり、1つ目がバウンド対策です。
電動ガンのピストンは前進仕切った瞬間に静止するのではなく、シリンダーヘッドに衝突した衝撃で多少バウンドします。
バウンドしている最中にセクターギアが1回転してきた場合、中途半端な位置にあるピストンのラックギアとセクターギア衝突、ギアクラッシュに繋がります。
ゆっくりギアが回るなら問題は起きにくいですが、ギアの回転速度が速いハイサイクル系のカスタムではこの問題は深刻です。
もう1つはAOE調節によってピストンの停止位置が後ろに下がり、ピストンが静止した状態であってもセクターギアの歯がラックギアの1枚目に衝突してしまう事がある為です。
ラックギアが1枚、2枚無い程度でピストンへの負荷が劇的に増える訳では無い(1枚目、2枚目がギアクラッシュによって完全に吹き飛んでいるのに、意外と使えている電動ガンは沢山ある)ので、むしろクラッシュを起こしにくくする為にラックギアの1枚目は無い方が良いと思っています。
尚、DSG専用ピストンで予め歯の枚数が大幅に少なくなっているような物も存在します。
DSGを使う場合はこういう製品を視野に入れても良いでしょう。
AOE調節について
先程AOE調節という単語が登場しましたが、AOEとは『Angle Of Engagement:噛み合い角度』の略で、セクターギアとピストンのラックギアの最初の歯の当たり具合の調節の事です。
これはセクターギアがラックギアを引き始める瞬間、負荷が掛かる方向を極力後ろ方向にする為の調節の事になります。
例えば数ミリ動かしただけでもだいぶ角度が改善し、ピストンの破損を抑える事が出来ます。(オレンジ矢印の方向に負荷が掛かる)
理想形はこのオレンジ色の矢印が限りなく後ろを向く状態が理想形ではあります。
真後ろにし過ぎるとバウンドによるギアクラッシュの原因にもなり得るので、やりすぎ注意です。
ちなみに、ほぼ真後ろに引けるようにした場合、こんな歯の形になったりします。(1枚目無し、2枚目半分ちょい削り、3枚目半分削り)
数回やってみた事がありますが、ここまでやる必要は無いかな…という印象がありました。
ピストンに組み込む重りやスラストベアリングについて
ピストンの内部には重りやスラストベアリングなどを入れる事があります。
もちろん、ピストンを極限まで軽くする為にピストンヘッドを固定するだけのネジのみという場合もありますが、基本的には重りやスラストベアリングを入れる事が多いと思います。
錘もスラストベアリングもピストンの重量を増やす効果がありますが、がっつり重さを増やしたいなら錘が良いです。
ピストン内にスラストベアリングを組み込む利点は、ピストン圧縮時のバネのヨレを防ぐ為です。
ただ、これはスプリングガイドかピストンどちらかに入れておけば問題無いので、例えばスプリングガイド側にスラストベアリングが組み込まれている場合はピストン側のスラストベアリングは不要です。
E&C 329E COLT M653で使用するピストンの準備
という訳で、今回使うピストンはこんな感じです。
Chaos Airsoft製のAOE調節済みピストン、DCI Guns 側面吸気ピストンヘッド POM、G.A.W. FRUS-Oリングを用意しました。
今回用意したChaos Airsoftのピストンは普通のピストンよりも3mm長く、ラックギアの歯の1枚目が全カット、2枚目が半分に最初からカットされた状態になっている、13.5枚歯ピストンです。
ハイサイクル用の設計になっているのか、至る所に肉抜きが存在するので重めのピストンを使いたい場合はちょっと不満を感じる仕様となっています。
このピストンの良い所は予めピストンの全長が3mm伸びており、AOE調整が出来ているという事です。
もっとも、完璧な状態という訳では無いですが、普通のピストンよりも全然良い状態になります。
ピストンヘッドはDCI Gunsの側面吸気ピストンヘッド POMです。
ネジ固定がピストン前側からになっている新型です。
これらのパーツを組み合わせると25gでした。
今回はピストンちょっと重めな仕様にしたかったので、これだと足りないです。
そういう時はいくつかの方法があり、自分は「マルイ純正や明日香縫製などで製品化されている錘を入れる」「ナットを入れる」「鉛を入れる」の3パターンです。
今回は重さの微調整をしたかったので、鉛を入れる事にしました。
錘は鉛シートを使います。
鉛シートを切って測りに乗せていき、希望の重量になるように調節します。
入れる鉛シートの量が決まればワッシャーを取り付けたネジに巻きつけ、適当なピストンの中に挿入。
ピストンの内径とほぼ同じ太さのピンポンチを使って叩いて潰します。
これで鉛シートは「これ以上潰れない」程度に潰れます。
錘として鉛シートを使う場合に危険なのは、使っているうちに鉛が潰れていきピストンヘッドの固定がゆるくなる事です。
予め限界まで潰しておけばこれ以上潰れて高さが低くなる事はありません。
ワッシャーもしっかり埋め込まれました。
尚、一時期接着剤や金属パテで固めて使っていた事もありますが、接着剤やパテは衝撃で割れる事があったので、イマイチでした。
という訳で、これらのパーツを組み立てていきます。
尚、錘を追加した分ピストンヘッドを固定する為のネジを長くする必要があったのでネジは別途用意、ネジロック剤(ロックタイト 277)を使って振動などで緩まないようにしています。
また、錘やスラストベアリングを入れる事によってピストンスプリングガイドやピストンスプリングと干渉する可能性が出てきます。
これのチェック方法は簡単で、スプリングガイドをピストンに入れた際にピストンとスプリングガイドの間に隙間が存在するかどうか?スプリングガイドとスプリングをピストンに入れ、スプリングを圧縮した際にピストンとスプリングガイドの間に隙間が存在するか?です。
存在している場合はスプリングガイドとピストンが衝突しています。
厳密には多少の隙間なら問題無いですが、どの程度の隙間まで許容されるかは個体によって様々なので隙間が無い状態が一番安全です。
尚、スプリングガイドがピストンに干渉する状態で動作させた場合、ピストンスプリングががっつり圧縮された状態でピストンが動作を停止し、ヒューズが飛びますし最悪ピストンが壊れます。
最も最悪なのはピストンが壊れず、ピストンが後退状態で停止、逆転防止ラッチの解除レバーもピストンの負荷で噛み込んでしまい動かなくなってしまった場合です。
QDスプリング仕様であってもQDスプリングガイドを外す事が出来なくなり、高負荷が掛かったメカボックスを分解する必要がある為確実に開けた瞬間にいろんなパーツが吹き飛びますし、最悪この時の衝撃で全く関係の無い他のパーツ(ギアや軸受、タペットプレートなど)が壊れる事もあります。
単純に面倒くさいですし、心臓にも悪いので二度と体験したくはない体験が出来ます。
こうならない為にも、スプリングガイドがピストンと干渉しないように削り、再度同じチェックを行います。
スプリング交換やスペーサーによる調整も予定しているなら、組み込み予定のスプリングを一通り試したり、何枚までならスペーサーを追加出来るかも確認しておいた方が良いです。
最終確認として、ピストンを最後まで後退させる事が可能で、その後ピストンが開放されるかどうかも確認します。
ラックギアやセクターギアの歯が高かったりするとたまにピストンを引ききってもセクターギアとラックギアが接触したままになってしまい、ピストンが開放されず噛み込むかギアの歯が折れるという問題が起きる事があるので、これのチェックもしておいた方が良いです。
簡単に言うと、メカボックスを開いた状態で全部の部品を動かしてみて、問題無い事を確認してからバッテリーを繋いで動作を行なった方が、無用なトラブルが起きなくて良いという事です。
メカボックスの分解組み立てなんて何度もやりたい作業じゃ無いですし、トラブル起きたら単に萎えますし、パーツ破損なんてさせたら余計な出費も増えますからね。
シリンダーの選定について
シリンダーに関しては材質や表面処理の差異はあるものの、全て微々たる差なので基本的にシリンダー容量(加速量)のみ考えれば良いと思います。
材質や表面処理について気にするのは相当凝った事をやり初めてからで良いかと思います。
材質について
とは言え、何も紹介しないのもアレなので、軽く材質について触れます。
というのも、ピストンは空気を圧縮する為、使っていると発熱します。
どのようなセッティングであっても発熱は免れないので、そこは気にする必要があります。
真鍮製
一番無難な材質で、多くの電動ガンが真鍮製シリンダーです。
普通のセッティングであればこれで何の問題も無いですが、異常な高圧が掛かる物、非常に高速な発射サイクルになる場合は発熱による膨張が起きたり、Oリングに熱が伝わって良くない場合もあります。
まあ、凝った事をしなければ真鍮で問題無いです。
尚、真鍮にコーティングが施されており摩擦抵抗を減らしているような製品も存在するので、その場合は発熱をある程度抑える事が出来るようになっています。
アルミ製
真鍮製と同様に純正パーツでよく使われているのを見かけます。
真鍮よりも軽いので少しでも軽量な電動ガンを組みたいなら選択肢として上がりますし、アルマイトが施されているので汚れにも多少強いですが、発熱による変形、場合によってはアルマイトの剥離が起きる事があるので、真鍮と同様に異常な高圧が掛かるセッティングや高速な発射サイクルになるような場合はあまり相性がよく無いです。
まあ、真鍮同様凝った事をしなければ普通に使えますが、あえてこれを選ぶ必要も無い気はします。
ステンレス製
カスタムパーツとして売られている製品でよく使われるのがステンレス製です。
真鍮よりも耐熱性が高く変形しにくいのが特徴で、放熱フィンが付いているような物も存在します。
熱膨張が気になる場合にはステンレス製で放熱フィン付きの物を選ぶのが良いでしょう。
スチール製
あまり見かけませんが、たまにあります。
ステンレス製と比べてどういうメリットがあるのかイマイチよく分からないですが、内側に特殊なコーティングが施されいる製品が多く、その場合は耐摩耗性が高かったりピストンの移動がスムーズになるというメリットはあるようです。
とは言え、コーディングの話をしだすと真鍮製やアルミ製、ステンレス製でもコーディングが施されている物は存在しますし、耐熱性に関してもステンレス製とそこまで大きな違いは無いので、スチールだからといって大きな差があるとも思えないです。
フルシリンダーと加速シリンダーについて
シリンダーの種類にはフルシリンダーと加速シリンダーの2種類が存在し、加速シリンダーに関してはシリンダー容量ごとに様々なバリエーションが存在します。
原則大きさは電動ガン用であれば全て同じです。
ただし、ピストンと同様にロングシリンダー/ショートシリンダーなど特殊な規格になっている物もありますが、当記事ではそこに関しては触れません。
簡単に言うと、フルシリンダーはシリンダーに穴が空いていない物、加速シリンダーはシリンダーに穴が空いている物です。
尚、シリンダーに穴が空いていなくともKM規格のパワーシリンダー/ワープシリンダー、G&Pの純正シリンダーのようにシリンダー内側に段差や非常に浅いテーパー処理が施されており、内径が狭くなるタイミングまでの間ピストンを加速させる仕様のシリンダーも存在します。
このシリンダーは非常に高い工作技術が必要になる為、高い精度を出す事ができかつ信頼できるメーカーの物を使う必要がある他、Oリングのサイズとの相性をより一層気をつけないといけなくなるので、ちゃんと使おうとするとかなり気難しい製品です。
正直、あえて選ぶ必要は無いかと思っています。
フルシリンダーについて
フルシリンダーはシリンダー容量を100%使いたい時に選ぶ物で、主にシリンダー容量が少ない加速シリンダーだとエアー量不足になるロングバレルな物で使うシリンダーです。
ピストンの前進速度が遅くなり、シリンダー内圧を上げる(初速を上げる)にはピストンスプリングを固くする必要があります。
ただし、そこまで長くはないバレルとフルシリンダーという構成も別に悪くはなく、加速シリンダーよりも手軽に初速を安定させる事が出来たり、異常に硬いスプリングを使わない限りはHOPを強くしていった時の初速上昇を控えめにする事が出来たりします。
尚た、特殊なセッティングだと一時期流行った爆音系(破裂音が非常に大きい仕様)だとフルシリンダーが必須になったりします。
加速シリンダーについて
シリンダーの側面に穴が空いている製品の事を加速シリンダーと呼びます。
一般的にはインナーバレルの長さに合わせて加速シリンダーのバリエーションが存在し、「バレル長何ミリ用」とか「M4用」、「MP5K用」とか銃の名前で表記されている事もあります。
穴の位置、穴の数、大きさなど様々で、穴の位置は加速量/シリンダー容量に直結します。
穴の数は2個以上あると圧力が高まった時にピストンが傾いたりズレたりしなくなるという利点があります。
穴の大きさや形状に関しては大きいよりも小さい方が、楕円形よりも水滴状/扇形の方がOリングに対する負荷を減らす事が出来たり、ピストンが傾いたりズレたりしにくくなるという利点があります。
ただ、これらの問題に関してはそもそもピストンのガタツキを極力減らしておけば穴1つでも大きな問題は無いと思います。
加速シリンダーの穴の位置はシリンダーヘッドに近ければ近いほどシリンダー容量が少なく、シリンダー内圧が高いです。
バレル長に合わせて選ぶのが一番手っ取り早いと思いますが、エアーが足りなくならなければ何でも良いと思っておくのが重要です。
例えば、M4サイズ(バレル長336mmに適合)の加速シリンダーとMP5Kのインナーバレル(120mm程度)を組み合わせても問題は無いですし、MP5Kのシリンダーであっても250mm位のバレルまでは全然問題無く使えるので、少ないシリンダー容量と長いバレルを組み合わせる事も出来ます。
なので、うまい事やれば柔らかめのスプリング+重めのピストン+加速シリンダーで高効率低燃費な電動ガンを作る事が出来ますし、硬めのスプリング+軽めのピストン+加速シリンダーでピストン前進速度重視な電動ガンを作る事も出来ます。
どの程度のシリンダー容量(加速量)にするかは組み合わせるピストンスプリングやピストンの重さも踏まえて考えるべき要素です。
ボアアップシリンダーについて
ちょっと特殊なシリンダー形状としてボアアップシリンダーという物もあるので、軽く触れておきます。
このシリンダーはシリンダーの内径が一般的なシリンダーよりも大きくなっており、フルシリンダー以上のシリンダー容量を実現する事が出来ます。
メーカーによってどの程度内径が広がっているかは違っていますが、だいたい1mm程度大きくなっています。
その代わりシリンダーが非常に肉薄になるので、ちょっとした事で歪むので扱いには気をつける必要があります。
例えばメカボックスにバリがあって、普通のシリンダーだとちょっとキツいかな〜位の物でもボアアップシリンダー(特にアルミ製だと)だとメカボックスを閉じた時に歪んだりします。
また、ボアアップシリンダーを使う場合はボアアップシリンダー対応のピストンヘッドやピストンヘッドのOリングを使う必要があるので、ピストンヘッドの選択肢が大幅に狭くなります。
ボアアップシリンダーを必要とするカスタムは基本的に爆音系でしょうね。
とにかく破裂音をうるさくしたい時用です。
そもそもボアアップシリンダーを活かすサイズのインナーバレルは製品が存在しないでしょうし…。
シリンダーヘッドの選定について
シリンダーヘッドは樹脂(ナイロン・FRP・ジュラコン/POM)と金属(アルミ・ステンレス・スチール)があります。
基本的に樹脂で何の問題も無いので樹脂で良いです。
海外製品で金属製が多いのは、2Jとか3Jとかのパワーを出すセッティングで使うと樹脂では耐えれないからというのが大きいので、日本国内のパワーで使うなら樹脂で問題無いと思います。
また、金属のシリンダーヘッドはピストンヘッドの衝撃をダイレクトにメカボックスに伝えてしまうので、メカボックスの破損に直結する場合もあります。
それの対策として、シリンダーヘッドとメカボックスが接触する面にゴム板やOリングが貼られている物も存在します。
また、シリンダーからノズルに流れるエアーの流れをスムーズにする為に、アールが付いている製品もあります。
後はシリンダーの気密を高める為にOリングが2つ付いているような製品もあります。
シリンダーの圧力が非常に高い状態だとこういうダブルOリングの製品が役立つ事もありますが、シリンダーの内径とOリングのサイズが合っていれば大抵の場合、Oリングは1つで問題ありません。
ノズルの内径と絞りについて
尚、シリンダーヘッドを選ぶ基準の1つとしてノズルの内径があります。
基本的には普通のサイズで何ら問題ありませんが、エアーの圧縮率を高くしたい場合やメカボックスの破損防止の為に絞る場合もあります。
昔からノズル絞りという物は存在しており、Gunsmith BATON製の『流速ノズルインナーパイプ』を何度か使った事ありますし、真鍮パイプを使って自作した事もありますが、最近は絞りたい時にはSPARK ハイプレッシャー シリンダーヘッドを使う事が多いです。
シリンダーヘッドのクッションラバーについて
シリンダーヘッドのクッションラバーは基本的にニトリル、たまにシリコンの物がありますが、静音カスタムをしない限りはそこまで気にする必要は無いです。
拘る場合、ソルボセインやハネナイトなどを貼り付ける場合もあります。
ちなみに、シリンダーヘッド側にAOE調節用のスペーサーを取り付ける事もあり、自分も何度かやった事があります。
その場合、シリンダーヘッドにゴムのりを使ってゴムパッキンを貼り付け、固定させます。
ノズルの選定について
ピストンヘッドの形状について話した時にも軽く触れましたが、電動ガンのノズルには主に前方吸気対応タイプと非対応タイプの2種類が存在します。
前方吸気ピストンヘッドを使う場合は、前方吸気に対応しているノズルを使う必要があるので、パーツ選定の際には気をつける必要があります。
一番重要なのはこの2つで、それ以外は微調整程度の話しです。
まあ、その微調整が非常に重要なんですが…。
よく電動ガンで命中精度を挙げるにはどうするか?という話しでHOPパッキン変えるとか、バレル変えるとかありますが、ノズルもかなり重要な要素です。
むしろバレルなんか歪んでなければ弾は真っ直ぐ飛ぶので、バレルよりノズルです。
HOPパッキンもBB弾に逆回転が掛けれたら良いので、ちゃんとグリップ力のあるまともなHOPパッキンを使っているならHOPパッキンよりもノズルです。
「別に精度そんなに高くなくても良いし…」という場合でもノズルはある程度気をつける必要があります。
相性の悪いノズルを使っていると弾上がりや給弾に影響を及ぼしますし、気密漏れを起こしたりしていると初速や飛距離が不安定になります。
結構他のパーツは適当でもそれなりになりますが、ノズルに関してはかなり重要なパーツなので選定はちゃんとやった方が良いです。
ノズルの材質について
ノズルは主にナイロン、ジュラコン/POM、アルミ、真鍮のだいたい4種類です。
ナイロンのノズルは無難です。
ジュラコン/POMは滑りが良いので給弾を改善したり出来ます。
アルミ・真鍮はぶっちゃけ使う利点がよく分からないです。
ノズルって負荷が掛かるパーツでも無いので、金属にする理由が本当によく分からない…。
強いてメリットを挙げるなら樹脂よりも加工しやすいとかでしょうか…。
ノズルの先端形状について
ノズルの先端形状は色々な種類があり、気密やBB弾の停弾位置にも影響を及ぼしたりしますし、HOPパッキンとの相性によってはHOPパッキンの巻き込み事故を起こしたりもします。
先端が丸まっているノズルは基本的にHOPパッキンの口に差し込まれるノズルになります。
バレル周りの調整記事の方でも触れましたがHOPパッキンに差し込まれる仕様のノズルの場合、HOPパッキンの口のサイズとノズルの面取りのサイズを合わせる必要があります。
逆にHOPパッキンの口がぴったり触れるような仕様のノズルの場合は逆に長過ぎるとHOPパッキンの口を巻き込んでしまい、弾詰まりを起こすので気をつける必要があります。
HOPパッキンの口に差し込まれる形状のノズルはBB弾の停弾位置を安定させる事が出来るので、精度を上げたいなら差し込まれる仕様の方が良いと思います。
尚、BB弾の停弾位置を安定させるノズル形状として、FIREFLYでんでんむしノズルや、東京マルイのコンパクト電動ガン/電動ハンドガンや次世代MP5に採用されている段付きのノズルのようなロングノズル化が挙げられます。
後はパカ山クラフト製のパイノズルも同様にBB弾の停弾位置を安定させる事が出来ますが、こちらはノズル自体を長くするのではなく、ノズルの中央を棒で埋める事でノズルの穴にBB弾が入り込まないようにする仕様のノズルになります。
共にそこまで手間を掛けずに自作をする事が出来るので、自作している人も多いです。
特にパイノズルは最悪プラ板とハサミと接着剤だけで作る事が出来ます。
こういう感じで、ノズルの先端形状は色々な種類が存在するので、セッティングに合うもの、好みな物を選ぶ必要があります。
ノズルの長さについて
ノズルで重要な要素になる1つとしてノズルの長さという物があります。
基本的にノズルはメカボックスの形状、チャンバーの形状によって適切な長さが変わりますし、使用しているHOPパッキンによっても微妙に長さが変わってきたりします。
適切なノズルの長さを調べるには、メカボックスとチャンバーを組み合わせた状態でノズルがしっかりHOPパッキンの口まで届いているかどうかを確認します。
ノズルがHOPパッキンの口まで届いているかどうかを確認するには、ノズルをチャンバーに挿し込んだ際の最後の方で僅かな抵抗を感じる事が出来ればOKです。
また、この状態でBB弾の停弾位置をチェックする為のツール、『弾棒』を使ってノズルとHOPの突起のクリアランスをチェックした方が良いです。
もしスカスカであればもっとノズルを伸ばした方が良かったりします。
また、ノズルが後退した状態で給弾ルートが完全に開放されている事も重要です。
ノズルを伸ばした結果、ノズル後退時に給弾ルートにノズルが飛び出したままだと給弾不良を起こしてしまいます。
ノズルはよく「M4用」とか「AK用」とか製品名ごとで販売されていますが、これらはあくまで基本的な長さであってドンピシャな長さという訳ではありません。
メーカーによってコンマ数ミリ長さが違うケースもありますし、適切なノズル長にするには、このように個別にチェックを行なう必要があります。
相性の良いノズルが無い時用に、長めのノズルを用意しておくと何かと便利です。
切って削って、適切な長さのノズルを使う事が出来ます。
ノズルの太さについて
結構忘れがちなのはノズルの太さです。
チャンバーに差し込まれたノズルは給弾ルート内のBB弾によって上方向に押し付けられます。
その為、チャンバーに対してノズルが細いとノズルが大きく傾いてしまい、HOPパッキンとの機密が取れなくなってしまう恐れがある他、最悪HOPパッキンとノズルが変な角度で衝突し、HOPパッキンを破損させてしまう可能性があります。
逆にノズルが太くてチャンバー側が狭いとノズルが奥まで刺さらず、気密漏れを起こしてしまいます。
段付きノズルの製品だと、チャンバーとの相性が悪いせいでたまにこうなってしまう事があります。
これもノズル長さのチェック時に確認し、もしもノズルが細い場合は適切な太さの物に変えるか、ポリイミドテープやアルミテープなどを巻いて微調整をした方が良いです。
シーリングタイプについて
ノズルには内側にOリングが付いている、シーリングノズル(エアシールノズル)と呼ばれる種類の製品が存在します。
このOリングはシリンダーヘッドとの気密を保つ為に重要なパーツですが、Oリングがスカスカだと意味が無いですしタイト過ぎるとノズルの前後運動に支障が出てタペットプレートへの負荷が上がりタペットプレートを壊す原因になったり、ノズルの閉鎖不良を起こしたりします。
Oリングの適切なサイズはシリンダーヘッドに取りつけた際に大きな抵抗も無く動かす事が出来ればOKです。
この時点でスカスカだとOリングが小さく、圧入するような感じげグッと差し込まないといけなかったり、動かす時もグググッと抵抗があるとOリングが大きいです。
シーリングノズルを使わない場合も基本的な考えは同じですが、シーリングノズルと違って多少ゆるい方が良かったりします。
尚、シーリングノズルのメリットは高い気密を取る事が出来るという事ですが、逆に弾詰まりなどを起こした時にエアーが漏れる場所が無くなり、ピストンクラッシュを起こしやすくなってしまうという問題もあります。
セッティングに不安があるなら、シーリングノズルは使わない方が大きなトラブルを回避することが出来ると思います。
タペットプレートの選定について
タペットプレートはメカボックスの形状によって選択肢が絞られるので、自分が弄ろうとしている物に対応する製品を選ぶ必要があります。
例えばVer2メカボックスにはVer2用タペットプレートを使う必要がありますし、Ver6メカボックスにはVer6メカボックス用タペットプレートを使う必要があります。
ただし、Ver2メカボックスにVer3メカボックス用を取り付ける事が出来るなど、多少の互換性がある場合もあります。
タペットプレートにおいて、一番重要なポイントはノズルの角度
タペットプレートにおいて一番重要になる要素はノズルを取り付ける部分の角度です。
この角度が90度になっておらず、90度よりも大きな角度になっている場合があり、そうなるとノズルが上向きで固定されてしまい、給弾周りのトラブルや機密漏れ、最悪の場合タペットプレートの破損に繋がります。
また、この部分は使っている間に曲がってしまう事もあり、それを防ぐ為に補強されているようなタペットプレートも存在します。
カスタム製品だとこういう工夫が施されている製品もありますね。
正直、ノズルの角度さえ問題なければ大抵のタペットプレートは問題無く使えると思いますが、一応他にも気をつける所はあるので、それらを紹介していきます。
タペットプレートの材質について
タペットプレートの材質はポリカーボネートかジュラコン/POMが多いと思います。
ポリカーボネートよりもジュラコン/POMの方が壊れにくいのが特徴ですが、ポリカーボネートのタペットプレートが壊れやすい原因の多くは整形の問題だと思います。
そもそも構造的に壊れやすい製品も一部存在しますが…(M14のVer7メカボとか特に)
あと、ポリカーボネートもピストンと同様に割れやすい物は存在します。
整形時にどういう問題があると壊れやすいのかと言うと、タペットプレートの真ん中に気泡が存在する場合です。
これはタペットプレートが折れた時に分かるので、折れないと分からないです。(昔1度だけ気泡が原因で折れた事がある)
それ以外に折れる原因としてよくあるのはセクターチップなどによって限界以上にタペットプレートが引かれてしまい、負荷が掛かって折れたり、タペットプレートのリターンスプリングが硬すぎて負荷が掛かって折れたり、セクターギアやメカボックスと接触する事によって負荷が掛かって折れたりなどがよくあります。
タペットプレートの羽について
タペットプレートの役割はセクターギアと連動してノズルを後退させる事なのですが、セクターギアに付いているタペットカムにぶつかる部分がこの『羽』です。
ちゃんとした名前があるのかは知らないですが、自分は『羽』と読んでます。
羽について純正パーツを流用する場合気をつけないといけない事があります。
それは羽の根元が歪んでいないかどうかです。
先述で軽く触れましたが、純正セクターギアにセクターチップが付いている状態でたまに見かけるのが、セクターチップによって羽が歪められているケースです。
これに関してはパーツのチェックが必要になります。
ノズル側の歪みよりかは多少マシですが、こちらも長く使っているとタペットプレートが破損してしまう原因にもなるので、注意が必要です。
タペットプレートの羽の形状は様々で、何段にも段差があるもの、シンプルに一直線なものなど様々です。
更に細かい所だと厚みやひきはじめ部分の角度、引き終わりの部分の形状など色々ありますが、秒間30を超えるようなハイサイクルカスタム以外ではそこまで気にする必要は無いと思います。
感覚的に発射サイクルが秒間30を超えた辺りからタペットプレートの引き初めや開放タイミングを気にした方が良いと思いますが、それ以下ならそこまで気にしなくても困る事は無いと思います。
また、もしノズルの差し込み速度が速すぎて弾ポロしやすいとか、そういう問題がある場合はタペットプレートを弧の長い物に交換するとタペットプレートがゆっくり戻るようになるので、弾ポロなどの問題を解決する事が出来たりします。
後はノズルのリターンスプリングを柔らかい物にするとかですね。
また、何段にも段差が存在するタペットプレート(上のタペットプレートもそのパターン)だと二重給弾を防止出来たりしますが、ギアの回転速度が速くい状態で弾上がりの悪いチャンバーを使っていると給弾不良を起こす可能性があります。
タペットプレートの羽はセクターギアの回転と連動してノズルを引くために存在するので、「ちゃんとノズルを引く事が出来るか」「ちゃんとノズルを開放する事が出来るか」が重要になります。
また、逆転防止ラッチを解除する機構が備わっている場合、セクターギアが逆回転しても問題の起きないタペットプレートの形状になっているかというのも重要な要素になってきます。
まず、ちゃんとノズルを引く事が出来るか?という点についてはセクターギアのセクターカムがタペットプレートに接触し、セクターカムがセクターギアのシャフトに対して真横に来るまでの間、ずっとノズルを引き続ける事が出来るか?という事を確認すれば良いです。
もしこれで全然ノズルの後退量が足りてないとかだと給弾不良の原因になったりするので、セクターチップの追加を検討した方が良いです。
この状態で問題が起きていないのに、無闇にセクターチップを追加するのはただトラブルを生むだけでしかありません。
開放に関してはピストンの開放よりも前の時点でノズルが前進仕切っていれば大丈夫です。
E&C 329E COLT M653で使用するシリンダーやノズル、タペットプレートの準備
今回は『シリンダー容量は極力少なくし、加速シリンダーを活かす』という目的があるので、シリンダー容量ちょっと少なめな物を選びました。
買ってきたのはLayLax プロメテウス ステンレス ハード シリンダーです。
シリンダーヘッドは純正のまま使います。
LayLaxのシリンダーはステンレス製で外周に細かな凹凸が付いている放熱性の高い製品で、加速ポートが4箇所に付いています。
割と好きなシリンダーなので昔から度々使っています。
E&C純正のシリンダーヘッドと組み合わせても気密バッチリだったので調整無しでそのまま使います。
このシリンダーに合うOリングをG.A.W. FRUS-Oリングの中から選びます。
ピストン周りに塗布するグリスはG.A.W. Gグリースを使います。
シリンダーヘッドへのグリス塗布はOリングを外した状態の内側に薄く塗り、その後Oリングを取り付け外側も塗ります。
グリスは筆で薄く塗り伸ばす感じです。
ピストンの左右とラックギアにもG.A.W. Gグリースを塗布します。
こちらは多少多めでも大丈夫ですが、筆で塗り伸ばします。
シリンダーヘッドのOリング部とシリンダー内側にもG.A.W. Gグリースを塗布します。
基本的にOリングは油分が無い状態で負荷がかかるとOリングが割れてしまったりするので、全体的に程よく塗っておきます。
ノズルは昔RetroArmsから出ていたPOM削り出しノズルを使います。
シーリングノズルで、長さは21.2mmの物を選びました。(これはチャンバーの組立時に既に確定させていました)
タペットプレートは純正のままで特に問題は無かったので、そのままです。
ノズルの内側にもG.A.W. Gグリースを塗布します。
最後にメカボックス内側のピストンやタペットプレートが接触する部分にもG.A.W. Gグリースを塗布、吸気系のパーツを取り付けていきます。
その後、メカボックスを閉じて最終チェックを行います。
ギアが回るか、回ったギアがピストンに接触し後退させる事が出来るか、タペットプレートはスムーズに動くかなど一連の動きを指で押したり回したりしてチェックします。
特に今回新たに追加したパーツであるピストンは念入りにチェックする必要があり、スムーズに動くかどうかの他にガタツキが無いかどうかもチェックします。
スプリングガイドを差し込む穴に指をつっこみ、ピストンを指で前後に動かした時にガタツキが無く前後のみ動けばOKです。
これらのチェックが終わったら適当なピストンスプリングを取り付け、動作チェックを行います。
ピストンスプリングは最後に調整するので、この時はピストンクラッシュを起こさない程度の硬ささえあれば適当な物で大丈夫です。
まとめ
という訳で、ピストンやシリンダー、ノズルなどの吸気系パーツの選定や調整で気をつけているポイントについて紹介してみました。
駆動系以上に理屈が重要になるパーツが多いので、最初のうちは只管試行錯誤する事になると思います。
特にコンマ数ミリ単位の調整だらけな要素なので、どの程度詰めればいいか、どの程度ゆるい方が良いかなど色々考えないといけないですし、好みによって変わります。
また、駆動系と違って組み込みミスや調整の甘さが明らかにならない箇所でもあるので、それが一層難しさを高めているような気がします。