
初速調節と外装パーツの組み込みで気をつけているポイント【E&C 329E COLT M653内部カスタム】
記事作成日:2022年9月12日
開封レビューと分解レビューを行ったE&C 329E COLT M653の内部を弄っていくのですが、いつも通りの内容だと対した変化が生まれないので、ちょっと深堀りした記事を小分けして投稿していく形にしてみようと思います。
という訳で、当記事では『初速調節と外装パーツの組み込みで気をつけているポイント』という事で、最終的な組み立てと調節に重点を置いて紹介していきます。
主に個人的にいつも考えているパーツの選び方、組み込み時に気をつけている点を紹介していきます。
4回に渡って紹介してきたE&C 329E COLT M653内部カスタムもこれが最後です。
尚、当記事の内容は今回やろうとしている構成を実現する為の物なので、カスタム内容によってはパーツ選びにおいて大きく考え方を変える場合もあります。
ただ、調整方法に関してはどのようなカスタムであっても、大きな違いは無いと思います。
また、精密射撃に特化するようなカスタムに関しても少し考え方が変わってくるのでその点ご了承下さい。(精度に関する話しは少し記事中でも触れます)
あと、個人的な話しなので別にこれが正解という訳でも無いので、そちらもご了承下さい…。
全体のざっくりしたカスタム内容について
まずカスタムをする上で全体をどういう構成にするかを、ざっくりでも良いので考える必要があります。
どんな物事でも設計が無いと何も出来ず、行きあたりばったりでうまくいく事は少ないです。
基本的に自分はエアガンを買う前に「こんな感じのにしよう」と非常にざっくりした事を考えており、分解時に「このパーツを買い足さないといな、このパーツはこれが使えるな」という事を考えながら分解しています。
また、カスタム前に必要になるパーツを一通り購入し、カスタムは用意したパーツを組み立てていくだけという作業になります。
特殊な構造の製品だと分解しながら「こういう構造なら、こういう事も出来るのか」みたいな事を思いついて、やってみる事もありますが、基本的には元々やりたかった事を実現する事が多いです。
今回の構成のコンセプトは『ロングバレル版 次世代MP5A5』で、要点は下記
- バレル長はなるべく純正サイズのまま(363mm)
- シリンダー容量は極力少なくし、加速シリンダーを活かす
- 強いHOPを掛けた時でもしっかりBB弾を押し出せる重いピストンと、程よい硬さのピストンスプリング
- 低回転ハイトルクモーターを使ってサイクルはあまり速くならないようにしつつ、オーバーランも少なめに
- モーターの回転数の少なさを補う為に16:1のギアを組み込んで、発射サイクルを調整
- HOPパッキンは在庫処分として、さっさと消費したい奴を適当に
こんな感じで考えています。
初回の初速チェックについて
という訳で、バレル周りとメカボックスが出来上がったので、これらを外装パーツに納めて初速を測っていきます。


動作テスト時点から柔らかいスプリング(E&C純正)を使っていますし、シリンダー容量もかなり減らしているのでそこまで高い初速は出ないかなと予想して組んでいます。
バッテリーはDCI Guns 7.4V 1000mAh 25-50CのLiPoバッテリー、弾はHITCALL 0.20g バイオBB弾です。
結果は最大初速が82m/s前後、発射サイクルは秒間12.7発となりました。
箱出し状態の最大初速は85m/s〜86m/s程度だったので、初速は下がっているもののシリンダー容量を大幅に削ってもこれくらいの初速を維持できるみたいですね。


という訳で、初速自体は問題無さそうなので初速を上げていきます。
尚、この時点で初速のバラツキや動作不良などが発見されたら問題のある箇所を調べる形になります。
基本的には初速が低い状態で不安定な銃は初速上げても不安定なままですからね。
とは言え今までの記事でやっている手順を踏んでいればそうそう問題が起きる事は無いのですが…。
ピストンスプリングの選定方法について
ピストンスプリングにも色々な種類がありますが、初速調整をスプリングで行なう場合、重要になるのはスプリングの硬さ(スプリングレート)です。
スプリングレートについて
よくスプリングには「90%」とか「110%」のような%表記、「90SP」や「110SP」のようなSP表記、「M90」や「M110」のようなM表記などが書かれていますが大抵の場合ほとんど参考になりません。
以前、『各メーカーのピストンスプリング比較 SHS、ZC、ACE1ARMS M90、M100 計6種』という記事で3社のスプリングレートを調べてみましたが、メーカーによって同じ数値であっても硬さはまちまちでしたし同一メーカーであってもM90よりM80の方が固いという硬さが逆になっている場合もありました。
信頼出来るメーカーから明確に「東京マルイ純正基準で何パーセント」とか明記されている場合は割と信頼出来ますが、そうじゃなく基準値が不確定な場合は参考にならないので、注意が必要です。
じゃあ、どうすればいいか?と言うと、とりあえずたくさん買って試すしか無いです。
自分は初めて買うメーカーのスプリング
自分はピストンスプリングがだいぶ増えてきたので、最近は衣類用の収納ボックスに入れてます。

まあ、こんな事やってるとお金が掛かりますし、無駄なパーツも増えるのでコストを抑えたいなら、よくわからないメーカーの製品を買うのではなく、多少値段が高くても東京マルイ純正比でスプリングレートを表記してくれているメーカーの製品を選ぶのが良いです。
尚、よく分からないメーカーのスプリングレートを調べる方法として、自分は測りを使っています。
これはだいぶ前から紹介している方法ですが、意外と正確な値が取れるのでこの方法を多用しています。
ピストンスプリングを圧縮した状態の重量を計測、これを東京マルイのスタンダード電動ガン M4A1用のスプリングでの計測結果を100%として、相対値として何%の物なのかを調べます。


スプリングレートはこんな感じで選んでいます。
というか、私は基本的にスプリングレートでしかピストンスプリングを選んでいません。
一応ピストンスプリングには他の要素もあるので、それらも紹介します。
ピッチについて
スプリングにはピッチという数値が存在し、電動ガン用のピストンスプリングではピッチがスペックとして明確に記載されている製品がほとんど無いですが、ざっくり「等ピッチ」と「不等ピッチ」の2つに分類されています。
等ピッチ(等間隔ピッチ)について
ピッチの間隔が均等になっているスプリングで、電動ガンに限らす押しバネとして最も一般的な仕様のスプリングです。

これと言ったメリットもデメリットも無いスプリングで、無難に使えます。
癖も無いのでよほど特殊な仕様じゃ無い限り、このスプリングを使っておけば困る事は無いと思います。
不等ピッチスプリング、2段階ピッチスプリングについて
不等ピッチはピッチが不均一になっているスプリングの事で、一番多い種類は写真に移っている片方の端と中央付近が潰れている物です。
物によっては片側のみピッチが細かくなっている物や、3箇所ピッチの細い部分がある物があります。

不等ピッチの利点は引き始めの負荷が等ピッチよりも軽く、ピストン後退時の初動速度を上げる事が出来ます。
また、駆動系への負荷を等ピッチよりもゆっくりと上げる事が出来る為、そこまでトルクの無いモーターでも硬めのスプリングを引く事が出来たりもします。
その為、昔からハイサイクル系のカスタムやハイレートなスプリングでよく見かける仕様でしたし、今の時代でもカスタムする際には何かと重宝するスプリングです。
また、うまいこと組めれば等ピッチよりもバネ鳴りを抑える事が出来ます。
デメリットとして、ピッチが細かくなっている付近が変形しやすく、特にピストンスプリングの内径とピストンスプリングガイドの外径に大きなクリアランスがあると、数千発程度の使用ですらピストンスプリングが曲がってしまい、ピストンの内側に擦れるようになり、無駄な抵抗が増えたりバネ鳴りの原因になったりする場合があります。
また、等ピッチに比べて自由長の長い製品が多いので、錘を多めに入れたピストンや、スプリングガイドにスペーサーをたくさん入れたりすると不等ピッチの利点が損なわれる上に変形もしやすくなるので、無負荷状態でスプリングを圧縮しすぎないように、組み合わせには注意が必要です。
また、不等ピッチの中でも特殊な物として、このように中腹部のみ完全に潰されている形状の物があります。

名称があった気がしますが、覚えてないです…。
末端の処理について
スプリングによっては末端の処理として単にスプリングが潰されているだけの物と、削られて面が出ている物の2種類があります。
基本的にカスタムパーツとして販売されている物は後者の物なので、あまり気にする必要は無いと思います。


削られて面が出ている事によってスプリング圧縮時の負荷をスプリングガイドに対して真っ直ぐにする事が出来るので、スプリングのヨレを回避する事が出来たり、スプリング圧縮時にピストンに擦れ、抵抗になるのをある程度防ぐ事が出来ます。
また、特殊な処理としてこのように曲げられている物があります。
東京マルイ純正のスプリングとかはこの仕様になっているのですが、ピストンスプリングをピストンに固定する為にする措置なので、特に気にしなくて良いです。

こういう形状のスプリングは、純正ピストンASSYをそのまま使う時以外は切断するのが良いでしょう。
線径について
スプリングのは線径(線の直径)が太い物と短いものがあり、基本的に線径が太い方がスプリングは硬いです。(太いのに柔らかい、細いのに硬いという例外もあります)

線径はあまりスプリング選びの判断基準にはしていませんが、物凄い太い物だとスプリングガイドのシャフト部に引っかかったり、ピストンの内側に引っかかったりと問題になる事もありますが、極端な例なのであまり気にする必要は無いと思っています。
自由長について
無負荷状態のスプリングの長さの事を自由長と呼びます。
この長さが長い方が組み込み時の無負荷状態でスプリングが圧縮されるので、実質高レートになります。

尚、ピッチが広くて自由長が長い場合はスプリングがヨレやすい印象があるので、個人的には長くてピッチが広い物はあんまり好きでは無いです。
自由長は使っていくと短くなる場合があります。
それをヘタりと捉えるか、慣らした結果と捉えるかは割と人によると思いますが、これに関してはスプリングの材質や製造方法によってまちまちです。
スプリング圧縮時の長さについて
最後に、スプリングを選定する上で一番重要というか気をつけないといけないポイントだと個人的に思っている、スプリング圧縮時の長さが何ミリになるか?という事です。
当たり前ですが、ピストンスプリングは完全に圧縮されるとそれよりも短くなる事はありえないです。
その為、ピストンが完全に圧縮された状態の長さよりもピストン内側のスペースが無い場合でフルストロークのピストンを引こうとすると100%ピストンクラッシュを起こすか、ピストンが後退状態でロックしてしまいます。
そうなると色々大変なので、事前に何ミリまでのピストンスプリングを入れる事が出来るかを計測しておき、組み込もうと思っているピストンスプリングがその長さに対応出来るかを調べます。
スプリング圧縮時の長さの調べ方は簡単で、線径×巻き数です。
こちらの例だと線形が1.2mmで巻き数が23なので27.6mmになります。

この長さが入るならクラッシュも起きないという事です。
この計算をしておけば、後から初速調整の為にスプリングガイドにスペーサーを入れる作業も気兼ねなく行なえます。
ピストンスプリングの選定について
E&C 329E COLT M653純正のピストンスプリングは約3.3kgでした。
この時の計測は100g程度は誤差の範囲というアバウトな数値で良いと思います。

東京マルイ純正が約3.9kgなので、スプリングレートは84.62%になります。
セッティングによってどの程度硬いものを入れるとどの程度初速が上がるかというのは変わってきますが、今回は加速シリンダーを生かしたセッティングなので感覚的に4kgちょいの硬さが欲しいなと思ったので、東京マルイ純正比110%のG.A.W. Anti Shrink Springを用意しました。


この時に何%位の硬さが欲しいかな?というのは何となくの間隔値なので、何度も組んで経験を積む必要があると思います。
慣れてきたら「こういうセッティングで、こういう硬さのバネが入っていて、これくらいの初速が出るなら、、これくらいの硬さのバネを入れれば良い」というのが分かるようになると思います。
G.A.W. Anti Shrink SpringとE&C 329E COLT M653純正スプリングを比較するとこんな感じ。
上がE&C、下がG.A.Wで、自由長はE&Cの方が長く、ピッチが広く、線形が細いです。
柔らかいスプリングの特徴でもあります。

G.A.W. Anti Shrink Spring 110%を組み込んだ状態での初速は0.20gで最大92m/s台半ば辺りになりました。
いい感じですね。

ストックチューブの取り付けについて
最後にストックチューブを取り付けていきます。
E&C純正のエンドプレートは後方配線を考慮していない、GBBタイプの形状だったので中央の突起を削る必要がありました。


本来は電動ガン用のエンドプレートに交換した方が良いですが、どうせ後で交換する予定のパーツなので今回は削って対応する事にしました。
これでもズレないように気をつけながら取り付ければ良いですからね。
ロアレシーバー側も配線逃しの窪みを作る為に削りました。


これで問題無し。

後はストックチューブを取り付け、完成です。


まとめ
という訳で、初速調節と外装パーツの組み込みで気をつけているポイントについてまとめてみましたが、殆どは初速調整(スプリング選び)に関する話しになりました。
スプリング選びに関してはほぼ勘でやってるので、個人的には「なんでも良い」と思っています。
また、外装パーツの組み込みに関してはちゃんと付けれるなら良し、無理なら加工って感じなのでこれと言って気をつけているような所は無いと思っています。